昨日今日と、小雨が降っていますが、
涼しいというよりは、蒸し暑いですね。
天気予報によると、そろそろ梅雨に入るとか。
例年より、梅雨が早いように思いますね。
気候も不順すので、皆様、お体にお気をつけてください。
さて、今日の「栞の会」のご報告です。
紹介者:Nさん
「浅田ワールド」という言葉は聞いていましたが、初めて読む著者です。
著者は、この本に「父に捧ぐ」と献辞を入れたかったとあとがきで書いていますが、
亡くなる寸前に、吉川英治文学賞の新人賞受賞の知らせとともに
お父様の足跡を小説に編んだこの本をお見せすることができたそうです。
物語は、「地下鉄」を介して過去と現在が交差し、
しかもその過去も一定の時点ではなく、
重層的に重なるために、頭の切替えを目まぐるしく要求する本でした。
最後に、職場の同僚で不倫相手でもあり、
父親の足跡を一緒に辿ってきた「みちこ」までが夢の中の人物であったと
明かされるに及んで、浅田ワールドに目がくらんだというか、
ぶっ飛んだような気分となりました。
奇抜な形式で書かれた氏とお父様の私小説?だと思います。
紹介者:Nさん
感動しました。手元に置いておきたい本だと思いました。
ジャポニスムがヨーロッパに旋風を巻き起こした19世紀末。
浮世絵など日本の美術品を扱う美術商、
林忠正(彼は実在の人物)のもとで働くために
パリに渡った加納重吉という架空の人物を登場させ、
彼らとゴッホ兄弟との交流を通して
ゴッホの画家としての軌跡をたどった小説だと思います。
病を治すため、アルル、サン・レミ・ド・プロヴァンスなどに
居を移しながら絵を描き続けたゴッホ。
彼は本当は何を描きたかったのか?
著者は、独自性を出すために(?)
この物語でこのような問いを設定したように見えます。
そして、それは最初パリに出てきたときに浮浪者の格好をしていたためか、
役人から描くことを制された、パリ市民が「たゆたえども沈まず」と
愛してきた「セーヌ川」だったのではないか?
ゴッホはついにセーヌ川を描くことはかなわなかったが、
彼の描いた「星月夜」の空がまさに彼のセーヌ川だったと著者は結論づけています。
林忠正よ、本作で描かれたように本当にゴッホの才能を高く買っていたのなら、
作中で、彼の才能を率先して喧伝し、
絵の一つも高値で買ってやればよかったではないか?
なぜ次の時代の評価を俟つとしたのか?
作者の物語の展開ぶりを恨みに思った私でした。
紹介者:Nさん
京都の老舗骨董店「蔵」の素晴らしい鑑識眼を持つ御曹司、
イケメンで背が高く、色白(男性の誉め言葉?)、
心優しく、頭脳明晰な京都の大学院生がこの物語の主人公。
でもそれだけではつまらない、イケズで腹黒なところもある、
そんな彼が、店のアルバイトとして働くことになった、
埼玉から引っ越して来た高校生の葵ちゃんに、
京都のすべて(名所・名物・芸術、古典文学から道案内まで)を
ちょっとしたミステリーを交えながら案内します。
でもそれだけではないのです。
著者の幅広い興味は京都を超え、色々な分野に羽ばたくのです。
私も、葵ちゃんと同じホームズ塾の門下生となりました。
「知る」って面白いです。
もっとも、私は、葵ちゃんと違い、すぐ忘れるんですけど。
著者は1951年、群馬県生まれ。
長野県下のさる病院で精神を病みながらも内科医として勤務。
1985年に「ダイヤモンドダスト」で芥川賞を受賞し、
その後も数々の文学賞が授与されています。
私は、芥川賞受賞当時からのファンで、氏の本は読みつくしました。
近年、氏の新著を目にする機会がなく、
もう書かないのかと思っていたら
つい最近この本が出版されたことに気づき、手にしました。
氏もすでに定年を迎え、週何日か医者として簡単な業務につきながら、
ご近所の人たちとの交流を楽しんでいるようです。
文章が大変長いのにびっくりしました。
そんなだったかしら?
私が年老いたせいで長文に耐えられないのか?
と、たびたび読み返しながらの読了となりました。
所収の一作目(短編集です。)がいきなり、
一人の医者仲間から自分が受けた仕打ちへの報復とも読める短編となっています。
最後には彼を許すような書き方にはなっていますが、
このような作品をあえて上程したということから、
正直言って著者の度量のなさ、懐の浅さが現れているように、
文学も罪作りなものだと思いました。
紹介者:Nさん
金子文子・・・関東大震災の2日後に、治安警察法に基づき、
愛人の朝鮮人朴烈と共に検挙され、無期懲役の宣告を受けるも獄中で自殺。
エミリー・ディヴィソン・・・女性参政権を求めて過激な戦いを繰り広げ、
特に1913年6月4日のエプソムダービーの際、
国王ジョージ5世の馬であるアンマーの前に飛び出して重傷を負い、
4日後に亡くなったことで有名。
マーガレット・スキニダー…アイルランド独立のために戦い、
「イースター蜂起」の準備のため爆弾の起爆装置や製造部品を帽子に入れて密輸した。
20世紀初頭の3人の女性のテロリストたちの生きざまを、
「話しことば」を入れたり、時に「大文字」表記にしたりと、
自由奔放な書き方はこの著書そのものがテロスタイル。
自由なものの見方、論理的な思考方法、
あいまいさを許さず、感傷を入れない・・
底辺に生きる者の生活と国家(政治)の在り方を
セットで思考するブレディ・みかこさんしか書けない本です。
女性の参政権やアイルランドの独立はその後どうなったのか?
これらに答えることなく本書は終わっています。
著者はとにかく彼女たちの戦いを書きたかった、そのことが伝わりました。
紹介者:Nさん
紹介者:Nさん
紹介者:Nさん
上記3点は、「女たちのテロル」を読んで
ブレディ・みかこさんに興味を抱いて、手に取りました。
日本人は義務を果たさないと権利を主張できないと思っている、
平等とはみなが同じになればいいことだと思っている、
狭い「世間」を規範として生き社会(国家)を見ない・・etc.
若者の自殺が多い、一向に女性の地位が向上しない、
子育てのしづらさが続く・・・なるほどと思うこと満載でした。
そして、長い間「世間」を気にして生きてきた日本人は
今更「世間」なしには生きられない、
しかし、多くの「世間」と付き合うことにより
ついにはそのくびきが緩んでくるのではないか、
これが著者らの下した結論でした。
前田利家の側室が前田家にとって重要な役割をしたお話。
側室など女性の人権の低さには怒りを感じます。
日本語教師の日常の爆笑マンガ。面白い!
普段気がつかない日本語のあれこれに気付かされます。
紹介者:Aさん
優れた観察力と洞察力を持つAIであるクララと病弱な少女との美しい友情の物語。
やがて少女は成長して家を離れることになる。
AIであるクララは不用品置き場へと送られてしまう。
残酷な現実。世の中は絶えず変化してゆくということでしょうか?
紹介者:Mさん
紹介者:Kさん
よいケアマネジャーに出会い、最期を在宅で迎えられたらと思います。
その準備と心構えが紹介されています。
気軽な家ではなかったけれど、滝沢家の扇の要となって奮闘していく主人公、
路の生き方に勇気づけられます。
紹介者:Kさん
紹介者:Kさん
紹介者:Oさん
紹介者:Oさん
紹介者:Oさん
紹介者:Oさん
紹介者:Oさん
紹介者:Yさん
紹介者:Yさん
2月25日付日本経済新聞夕刊の書評欄に「サンドの女 三人屋」が高い評価で紹介されていました。
この本は、「サンドの女 三人屋」の前作です。
父から引き継いだ喫茶店で、三人姉妹が各々朝・昼・夜と違う形態で店を営んでいます。
この三人姉妹の微妙な関係、そこに常連客のドラマが絡み、ストーリーが楽しめます。
紹介者:Yさん
「2月20日付日本経済新聞朝刊の土曜日別冊「NIKKEIプラス1」のランキング
「食のエッセー、名文を味わう」で第1位に選ばれていた本です。
昭和の食卓が生き生きと描かれ、名脚本家であった著者の食への温かい思いが
伝わってきます。
台湾の飛行機事故で著者が亡くなってから40年経つそうですが、
文章は令和の時代にも色あせることなく生きている、と感じました。
管理人:A
2001年9月にアメリカで起きた同時多発テロ。
パウエル国務長官が記者会見を行ったとき、
後ろにある「ゲルニカ」に暗幕がかけられていました。
このニュースを見て、原田マハは、
この小説を書くことを思いついたそうです。
小説の主人公、キュレーターの八神瑤子は、
「ピカソの戦争」という美術展を企画します。
「ゲルニカ」は門外不出の作品で、借りることは難しい。
瑤子がこの企画を成功させようと、孤軍奮闘する様子と、
ピカソが「ゲルニカ」を描くに至った経緯が並行して、話が進みます。
芸術は、世の中に対して、どれだけの力を持つことができるか、
という反戦のメッセージが込められた、小説です。
管理人:A
6編の短編が収められた本です。
それぞれが、ゴッホ、ピカソ、セザンヌ、クリムト、
東山魁夷、モネの絵をモチーフに、生活の一断面が描かれます。
ほっこりした気持ちになったり、胸がキュンとしたり、
泪がほろりとしたりします。