9月も中旬になるというのに、まだ30℃を超える日々が続いています。
皆様、夏バテなさっていないでしょうか?
さて、今月のご報告です。
欠席された方から、原稿が届いておりますので、
まず、そちらから、ご紹介します。
息子があと2週間で1歳になり、だんだん手が離せなくなってきているので、
短編集を読もうと思い、ショートショートと言えば、、、ということで、
星新一の代表作を手に取りました。
特に印象に残ったのは、タイトルにもなっている『ボッコちゃん』です。
あらすじは以下の通りです。
【あらすじ】
とあるバーのマスターが発明したロボットのボッコちゃんは、
見た目は人間と区別できないほど精巧に作られていました。
しかしマスターはボッコちゃんの知能にまで手がまわらず、
できることといえば簡単な相槌を打つこと、酒を飲むことだけ。
マスターはボッコちゃんが飲んだ酒を回収し、
客にそのまま出すこともありました。
そんなボッコちゃんでしたが、客は酔っているために
彼女がロボットだとはちっとも気づきません。
それどころか、美人で大酒呑みのボッコちゃんは、
バーの名物となるのでした。
ボッコちゃん目当ての客のなかには、彼女を好きになってしまった青年もいました。
支払いに困った彼は、家の金を持ち出そうとしたところを父親に見つかります。
父親に叱られ「今夜限りだぞ」と金を渡された青年がボッコちゃんに会いにやってきた晩、
青年が毒薬を混ぜた酒をボッコちゃんに飲ませたまま店を去り、
ボッコちゃんから回収した酒を客とマスターが飲んだ結果、全員が毒で死んでしまいます。
人の声が止み、誰からも話しかけられないボッコちゃんだけが
静かに佇んでいるラストシーンの不気味さが何とも言えません。
ボッコちゃんに毒を飲ませた青年と、回収した酒を皆に振る舞ったマスター、
業の深い人間それぞれの行動が招いた悲劇と、
感情をもたないロボットとの残酷なコントラストに戦慄させられます。
この作品を読み、今年の4月にニュースで見たチャットAIにのめり込んでしまった男性がAIとの会話をきっかけに命を落としてしまったという事件を思い出しました。
(以下、毎日新聞URL参照)
https://mainichi.jp/articles/20230423/k00/00m/030/156000c
たった6ページの物語ですが、高校生もほぼ100%スマホを持っていて、
ChatGPTなどの会話型のAIが当たり前になっている現代、
などの発展が目覚ましい中で、人間が創り出した”人工物”との共存のしかたを
改めて考えさせられると共に、約半世紀前の1971年に発刊された『ボッコちゃん』で
描かれていることが現実になっていることを恐ろしく思い、ぞっとしました。
今抱っこしている息子が、大人になったら。
ボッコちゃんのようなロボットとお酒を飲むような時代がきてしまうのかなぁ…
その時には”人工物”とどのように人間が共存しているのかなぁ…
なんて思いを巡らせた、短編小説でした。
韓国の子どもの本で、読みやすけど、朝鮮戦争でどんなに国民が悲惨な目にあったか、
これでもかというくらい描かれています。
主人公のモンシルがとても優しくて頑張り屋のいい子なので、それに救われます。
朝鮮の方たちは日本から解放後も国が2つに分かれて戦争して、
たくさんの死者が出て、傷病者が出て、孤児になって、
生活保護もない時代に乞食をしたり、女の人は身を売ったり…
戦争の愚かさ、怖さを子どもの目線から描いています。
日本は朝鮮戦争で景気が良くなりましたが、
韓国ではこういう悲惨な時代だったのかと思いました。
紹介者:H.Yさん
まるで映画を見てるみたい、と思ったら
作者は女優さんで脚本書いて監督もする才女でした。
100年前の弱者救済のために生きるブランシュと、
彼女を人として尊重するパートナーのアルパン。(実在の人物)
救世軍の彼ら彼女らの一途な働きにより作られた女性会館。
100年後、その女性会館で挫折したエリート弁護士のソレーヌの物語が、
ブランシュの物語と交互に進行します。
鬱になったソレーヌが、代書のボランティアを通じて周りも彼女も変わっていくのは、
読みながら癒やされ励まされます。
紹介者:A.Nさん
紹介者:A.Nさん
紹介者:A.Nさん
紹介者:A.Nさん
紹介者:A.Nさん
紹介者:A.Nさん
紹介者:A.Nさん
紹介者:A.Nさん
紹介者:A.Nさん
紹介者:A.Nさん
ユヴァル・ノア・ハラり×池上彰/ 大澤真幸/ 福岡伸一/ 海部陽介/
長沼毅(生物学者)渡辺政隆(進化生物学)池田純一(Dezain SHINker)
柴田浩之(翻訳家) [入門]吉川浩満
「栞の会」のブログを繰っていたら、「『サピエンス全史』に挑戦しています。」
と、どなたかが書かれていまして、そういえば、以前読もうと思ったけれど長くてかったるいと思い挑戦しなかったなあと思い、ダイジェスト版を探しました。
上記のように、学者やジャーナリストが、「どう読むか」より「どう読んだか」を
実に自由に書いています。
面白くすぐに読めてしまいました。
論者の皆さんは実に勝手なことを言い放題、褒めちぎったり盲点を突いたり、
ご自分の論をついでにご披露したり。
福岡氏などは、「彼の論の基本は『認知革命』にあるが、
これはすでに吉本隆明の『共同幻想論』や
岸田秀の『ものぐさ精神分析』で言われている、新しいことは何も言ってない。
『認知革命』がいわば偶然に出来た産物として書かれているが、
そんな短い間に出来るわけがない、なぜそんな産物が出たかが重要」とか結構辛辣です。
つくづく、「サイエンス全史」という本が、読むものの頭脳を大きく膨らませ、
口を大きく開かせるのだと思いました。
「新たな新約聖書」というべき物語性のある本だと書いていましたので、
深刻な学術書なのに、楽しい読み物になっているのでしょう。
この著書で私が理解した「サピエンス全史」の内容は・・・
ハラリ氏の基本理念は三つ。
「認知革命―人間がホモサピエンスとして誕生できたのは、
思考やコミュニケーションの方法を身につけ、
集団における共通幻想を持つことが出来るようになったことにある。
この時初めて歴史が登場する。
ただこの歴史が登場する前に物理学・化学・生物学がすでにあり、
ホモ・サピエンスの時期はほんの短い歴史である、
ホモ・サピエンスを特別視してはならない」。
あとの二つは「農業革命」と「科学革命」。
それが彼の変わらぬスタンスということが理解できました。
また、この本の付録として彼の随意的な
「Home Deus=人間が自滅するシナリオ=人間が自らの意思、願望によって起こってしまう、
地球だけが残るシナリオ。
英雄としてのホモ・へロスの誕生は何か?」を後で書いたそうです。
SFみたいですが。
何よりも人類を愛する羅針盤の一つとして書かれたため、
ビルゲイツやマーク・ザッカ―バーグに読まれたのではないか?
宇宙開発がロシアで始まったのは、東方西教会のロシア人が、
宇宙進出を人類救済の一つとして考えたロシア宇宙主義があったためで、
人類の未来の解決方法は文化圏ごとに異なるのではないか、
と池田純一氏が締めで書いています。
ハラリ氏は、イスラエル人・オックスフォードで博士号取得・
年末にはインドに瞑想に出かける・ヴィーガンでゲイだそうです。
友人に韓国でベストセラーになった本だと薦められ、
ラテン語の授業ってそういえば女子大にあったなあと思い、読んでみました。
作者は韓国人の「ハン・ドンイル」氏。
凄い秀才もいいところの学者で、韓国人初、
東アジア初のバチカン裁判所の弁護士試験に合格された方なのだそうです。
その彼が、イタリア法務法人で働きながら、
韓国の西江大学で講義した内容をまとめたものがこの本です。
講義そのものですから平易な語り口になっています。
ラテン語を学ぶというより、ラテン語の言葉を通して、
「道を説く=人生訓」というべき内容、しかも重要な所は囲みがあり、
途中から横文字に弱い私はそれを拾っていくだけになってしまいました。
言語に興味のある方にお勧めします。
また、この年になっても道を説かれることは素晴らしいです。
「自分を愛しなさい、自分の思うところに従って今を大事に毎日を積み重ねていきなさい。
周囲への関心を忘れずに。」これが基本のようです。
とにかくラテン語は西洋の基礎、世界の基礎であるのだけは理解できました。
その中で一番関心が湧いたのは、韓国語は目上の人は目下の人にぞんざいな口調(ため口)で
話すことができ、目下の人は目上の人に敬語を使わなければならない「垂直語」の言語構造、
日本も同じだと思います。
その点、ヨーロッパの言語はある程度の年月を過ぎれば、
子弟間であってもため口で話す「水平型言語」だそうです。
それはラテン語のお陰なのだそうです。
その理由はローマの法律には命令調がなく、
(帝国を統制するには「みな平等に」の理念がものをいう)
この点を韓国人の彼は非常に羨ましがっています。
確かに、テレビのドラマなどを見ていても、
西洋人はフランクに意見を述べ合っています。
お行儀もあまり気にしないようですし。
その違いを、言語の成り立ちからで謎解き出来そうだと思いました。
「ため口」の用語がなければ使いようがないわけです。
紹介者:Y.Oさん
紹介者:Y.Oさん
紹介者:Y.Oさん
紹介者:M.Kさん
紹介者:M.Kさん
紹介者:管理人A
主人公は、人間に似た人間でないもの。
最初は、女子高校生、その次は男子高校生に変身する。
次々色々な人間に変身して、その都度エピソードが描かれるのだが、
物語が進むと、人間ではない人間のようなものが、
数は少ないが存在していることが分かる。
そして、彼らは、連絡を取りあい、付き合い始めるのだが、
人間が持つ「好き」「愛している」という感情が理解できない。
どういう結末になるのだろうと、どんどん小説に引き込まれていくが、
最終的には、この人間で人間でないものが、人間的な感情を理解するようになる。
文章は易しいのでですが、内容は哲学的で、不思議な小説でした。
紹介者:管理人A
関東大震災の時、流言飛語が流れた。
「朝鮮人が、井戸に毒を入れた」
「朝鮮人が、集団で襲ってくる」など。
そんな噂に、皆がおどらされて、各地で自警団が発生する。
そして、自己防衛のために、何人もの朝鮮の人が、殺される悲劇が起こった。
福田村では、四国から薬を行商にきている集団がいた。
地方の訛りがあるために、この行商の集団は、
「朝鮮人だろう」
と言いがかりをつけられ、殺されてしまう。
今まで歴史に埋もれていた、悲惨な出来事を掘り起こした、レポート。
この本を原作として、映画が公開されています。
https://www.fukudamura1923.jp/
このような事件を2度と起こさないよう、
歴史をしっかり学ぶ必要があると、痛切に感じました。