梅雨に入り、蒸し暑い日々が続いています。
今年の夏は暑そうですね。

Y支部長からは、今年の同窓会総会で、学長先生から、
これからの大学の在り方のお話があったとのこと、
報告かありました。

それを受けて、今回は本の話だけではなく、現在の女子大の状況、
今後の在り方など、活発な意見交換がなされました。

さて、今日は、欠席だったH.Yさんから原稿を戴いておりますので、
その紹介からしたいと思います。

満洲暴走 隠された構造 大豆・満鉄・総力戦 (角川新書)
安冨 歩
KADOKAWA/角川学芸出版
2015-06-18
紹介者:H.Yさん



日本が戦争に至った構造がわかりやすく説明されています。

大豆が大きなファクターだったのや、
それによって豊かな森だった(豹や虎もいた)満州が地平線が見える大豆畑になったのとか、
景色が目に浮かぶようでした。

また、戦争になると日本人は自分の頭で考えなくて「立場」に依って行動するため、
誰も止められなくなり破滅へと突き進みます。

それぞれが役割を遂行し誰も責任を取らないのは、
ハンナ・アーレントの言う「平凡な悪」と同じだと思いました。

今の日本も、戦争への道を歩みつつあり、
どこかで引き返せなくなるのでは、と思わされました。

くたかけ
小池 昌代
鳥影社
2023-02-13
紹介者:M.Hさん


正欲(新潮文庫)
朝井リョウ
新潮社
2023-05-29
紹介者:M.Hさん


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以下は、M.Sさまが、読まれた本の紹介文を送ってくださいました。

今回は、画家U-ku(ユーク)の新聞コラムと、青山美智子の3冊の本を紹介します。 

 東京新聞に「私の東京物語」というコラムがあります。

いろいろなジャンルの人物が自分の東京との縁、
生い立ち、活動等について語るコラムです。 

 そのコラムに、画家(水彩画)U-kuが、今年59日から10回にわたって執筆しており、
その中で青山美智子との出会いについて言及していました。 

 U-kuが銀座にある画材屋「月光荘」に職を得て、関連の額縁屋で仕事をしていた時、青山が額縁についての話をききに来た。

その縁で自分の個展を見に来た青山が、展示中の絵(春一番)を
「赤と青とエスキース」の表紙に使いたいと依頼する。
(この本の中に額縁にまつわる話もある。) 

 その後、今度は、U-kuが描いた絵に青山が
ショ-トストーリーを付ける企画が持ち込まれる。
「2冊出すので、それぞれ赤と青の色彩を使った48枚の絵が欲しい」とのこと。
それが、「マイ・プレゼントー」と「ユア・プレゼント」の2冊となった。 


赤と青とエスキース
青山 美智子
PHP研究所
2021-11-16
紹介者:M.Sさん

構成は、プロローグ、エピローグと4つの章からなる。 

各章は、独立の話だが、エスキースの縁でつながっていく。 

  ・最初の章の内容=  

1年間の期限付き交換留学生としてメルボルンに来た女子学生(茜=レイ)は、
現地育ちの日本人青年と知り合い友達になる。
彼は画家の友人に彼女の肖像画を依頼。
帰国がせまっていて、完全な絵にする時間的余裕がない。
赤いブラウスに青いカワセミのブローチをつけてモデルとなる。
そのエスキース(下絵。本番を描く前に、構図を取るデッサンみたいなもの)は
多くの人を引き付け、次の章の物語へとつないでいく。

マイ・プレゼント

青山 美智子
PHP研究所
2022-07-20
紹介者:M.Sさん


ユア・プレゼント
青山 美智子
PHP研究所
2022-12-20
紹介者:M.Sさん



)、)ともに、U-kuの絵と青山の文のコラボで構成されています
U-ku
抽象画は色彩が美しく、青山の文も軽く詩的で
文字の配列縦・横・円形などに配置されてて、
ランダムに頁をめくって楽しむ大人の絵本といえるでしょう
 

 


家康を愛した女たち (集英社文庫)
植松 三十里
集英社
2022-11-18
紹介者:A.Oさん


朝のあかり 石垣りんエッセイ集 (中公文庫)
石垣りん
中央公論新社
2023-02-21
紹介者:A.Oさん


街とその不確かな壁
村上春樹
新潮社
2023-04-13
紹介者:A.Nさん


落日 (ハルキ文庫)
湊かなえ
角川春樹事務所
2022-11-15
紹介者:A.Nさん


紹介者:A.Nさん



 大江の作品の中で最高傑作といわれ、ノーベル賞受賞作品の中に挙げられている作品、
しかも読み易いとあったので、長編ですが挑戦しました。
そうは言っても、何カ所か読み直しをしなければ意味が取れないところもあり、
前半は読み進まず、厚い本に挟まった栞で、
あとどの位読まなければならないかを測ったものでした。

 読後はズバリ「厚みのあるいい本」でした。
私の心の深い湖の底に、美しい藍の世界が沈着した、そんな感じでした。

 私の頭では80%位しか理解はしていないのでしょうが、
読書は自由、私なりに纏めると<重度の障害を持って生まれ、
手術により人形のようになってしまった施設にいる子供、
アルコールに溺れる妻、異常な姿で縊死したたった一人の友人、
これらを背景に持つ内向的な英語の教師が主人公。
その彼は、60年安保闘争後アメリカに放浪していて帰国した外向的な弟に誘われ、
四国の山の中の村にあるかつての実家で暮らすようになります。
やがて弟は万延元年に起きたこの村での暴動を再現し大暴れ、最後は自殺。
助言はしながらも傍観者として一部始終を見届けた主人公は、
村中を巻き込んだ弟の興した騒動後、
土地や屋敷を戦後の象徴であるスーパーマーケットの朝鮮人の社長に売り払い、
弟の子を宿した妻とともに人生をやり直そうとする、いわば再生の話です。

 嘘のような嘘でない象徴的な世界(劇場)が繰り広げられるわけですが、
中身が示唆するところは極めて真剣かつ重要な人間洞察と歴史史観です。
人間なんて実にいい加減で先導者からすれば極めてあてに出来ないとか、
心に滓として貯まった極めて個人的なことが政治行動の発端になったりするとか、
万延元年から100年後改めて一つの時代が終わったとか、
色々な読みとり方が出来て纏めきれません。
一読をお薦めします。

浮雲 (新潮文庫)
芙美子, 林
新潮社
1953-04-07
紹介者:A.Nさん



 久しぶりに伊香保温泉に行きましたら、宿の紹介の中に、
伊香保温泉が出てくる小説は徳富蘆花(伊香保に「徳富蘆花記念館」あり)の
「不如帰」だけでなく林芙美子の「浮雲」もあるとあったので、
「放浪記」(森光子の演劇)で幼い頃宿を転々として苦労した作家だと名前だけは知っていましたが、林芙美子の作品は初めてでした。

 内容は、戦前戦後を挟んで、恋多き(私に言わせれば材木屋、好色、浮気性、)
男女の出会いから別れ(女の病死)までを描いた恋愛小説です。

 と書くと素敵な物語と思われそうですが、男(富岡)がいけない。
農林省の役人で木材調査のためにベトナムに派遣されていますが、
妻を日本に残しながら現地の女を孕ませたり、
独身女(主人公・ゆき子)と深く関係し、
部下に彼女を挟んでの殺傷沙汰まで起こさせてしまう。
戦後帰国してからは役人仕事をやめ、尋ねて来たゆき子に、
愛はとうに冷めているのにたかってばかり、
妻が無くなってもゆき子が堕胎してもホッとするという道徳のかけらもない男です。

 ゆき子は義理の兄との関係を断つ意味もあって
事務員として働くベトナム行きを希望し、そこで富岡と出会いますが、
戦後帰国して、大して愛されていないことを分かっていても富岡を探し、
黒人男と関係したり、義理の兄との関係を復活したりと色々あっても、
最後まで、富岡に惹かれ、腐れ縁ともいうべき仲を続けます。
最後は富岡が再就職、ふたりの再出発のため長旅をしてたどり着いたばかりの屋久島で
喀血して一人で死にます。

 伊香保温泉は戦後立ち直れず、デカダン気分になっている富岡がゆき子を
道連れにして死のうと誘った場所です。
結局死ねずに東京に帰るのですが、
ここでも富岡は肉感的な人妻(一番愛した女だと後で言わしめている)と関係し、
その夫に富岡を追って東京にやって来た妻を殺すという罪を犯させています。

 戦後の混乱のなか立ち直るのは大変だと思いますが、
冒頭作者は「理性が万物の根拠であり万物が理性であるならば・・・
もし理性を棄て理性を憎むことが不幸の最大なものであるならば」と
シュストフの言葉を引いて書き出していますから、
人間の本能を描きたかったのだと思います。
最後の最後まで身の定まらない富岡を「浮雲」と結んでいます。

 実に林芙美子という人はインテリです。
文中、有名な作家の文章の引用や詩が織り込まれ、社会批評も実に的確。
日本人が威張ってベトナムの高級ホテルに陣取ってみても、
容姿や振る舞いが実に貧弱なこと、
統治しているフランス人のゆったりとした風姿と個人の生活を何よりも優先させる気質、
安南人の素朴で優しい心など。
そして何と言っても、帰国してからも思い出として描かれる美しいベトナム(ダラット)の
風景描写が、どろどろした内容に一服の清涼剤となって私の心に残りました。
読んでよかったです。

 それにしても、これが連載として書き始められたのは戦後4年後、
物々交換ではありますが、酒は豊富にあるし、
交通機関も伊香保や大阪、屋久島まで行っています。
まさか嘘ではないでしょう、復興って意外と早かったようです。
というか、戦後の苦しさがテーマではないので
当たり前な日常として詳しい説明描写はなかったと思われます。

紹介者:A.Nさん


 日本テレビの番組で「黄色い家」の作者・川上未映子と
学者・先崎彰容の対談が放映されていたので、
聞かれてぼそっと答えるつまらない学者でしたが、
彼を知るために読み易そうな本を選びました。
近代日本思想の研究者でテレビにもちょくちょく顔を出したり、
本もいろいろ書いて話題になったりしているらしいです。

 「鏡」とは日本人のこと。
日本の近代の始まりは「アメリカと日本」の出会いである。
先人としてのアメリカが、自己像形成を探る自分という鏡に、
強いては日本人全体にどう映るのか?
そう思って彼は始めて約ひと月に渡るアメリカ横断の旅に出たのでした。
1871年に出航した岩倉具視視察団の軌跡をたどって。

 廃藩置県という明治政府が全国を一括する基礎がなんとか固まり、
そのわずか4か月あと、不平等条約改正のための親善訪問として
岩倉具視視察団が出航します。
その視察の結果が、まだ定まっていなかった日本の国家としての全体像の礎となっていく、
それが著者が使節団の足跡をたどる理由でした。
また、随行して「米欧回覧実記」を著した久米邦武の、
伊藤博文や森有礼には感じることが出来なかったアメリカと日本の「壁」を
読み取った知性と教養の深さ、このことに深く心打たれたことも理由のひとつでした。

 アメリカで感じたレアな思いの数々
(1)、近代日本思想研究者として考えざるを得ない日本とアメリカの歴史の絡み
(2)、サンフランシスコ~ワシントン~シカゴ、
    そこから高速横断鉄道・アムトラックでの紀行で感じた地理・歴史・文化の違い等
(3)、とても楽しく、勉強にもなりますので一読をお薦めしたいです。

 私の心に特に残ったことを一つ書くと、
彼がワシントンの硫黄島戦闘記念碑からアーリントン墓地に行った時のことです。
硫黄島戦闘は日本軍守備隊2万3千人が全滅、
アメリカ兵も3万人近い死傷者を出した激戦地です。
記念碑として屹立する戦闘員の生々しい像の姿に彼は驚きます。
記念写真と説明文も刻まれていますが、
アメリカが歴代続けてきた戦闘の歴史も細かく刻まれていました。
そして彼はアフガニスタン侵攻とイラク戦争に関しては
終了の年代がまだ書かれてないことに気づきます。
つまりまだアメリカは戦争が総括されてない、終わってないと。
日本では戦争は終わった感満載なのに。
彼の研究では、アメリカでは毎年膨大な予算を計上して遺骨のDNA 鑑定を行い、
最大の儀礼のもと、死者の戦地での状況説明文を付けて家族のもとに返還しているそうです。
戦死者を慰霊することを通じて生きている人々が国家とつながり続ける。
こうしないと歴史の浅い国家は持ちこたえられない、
国旗がどこにでも掲げてあるのを見ても分かるように、
アメリカは鼓舞しないと国家が崩れる。

 彼は言います。
古い歴史を持つ日本は歴史の総括があいまいなまま終わりがち、
国家が無くなることはないから。
だからこそ持っている歴史を大事にし、過去に学ばなければならない。
戦後を代表する保守主義者と言われる江藤淳と山崎正和に大いに共感すると。

 

(1)大学での講義でアメリカの学生が臆することなく質疑応答をする等

(2)アメリカの南北戦争が終わったのが1865年、明治維新が1869年。
   二国は同じ時期に国家の生みの苦しみに喘いでいた等

(3)アムトラック観光列車「カルフォルニア・ゼファー」の車窓から続く
   広大な荒野(地球の生の姿)と戦争が持続し、
   銃が横行している世界(人間の生死の生の姿)が重なる等

紹介者:S.Mさん



紹介者:S.Mさん



百人一首で京都を歩く
河田 久章
ITP
2019-01-31
紹介者:S.Mさん


紹介者:T.Yさん


紹介者:T.Yさん


母の待つ里
浅田次郎
新潮社
2022-01-26
紹介者:C.Tさん


紹介者:管理人A


6編からなる短編集。
いずれも、前向きに真摯に生きる40代の女性が描かれ、読後感さわやか。
どの短編も、絵画や建築の話が盛り込まれ、読みながら、どんな絵だろう?
どんな建築なのだろうと?と思わずネットで検索しながら、
イメージを膨らませて、読んでしまう。


Go To マリコ (文春文庫)
林 真理子
文藝春秋
2023-03-08
紹介者:管理人A

週刊文春に連載中のエッセイをまとめたもの。
筆者はエッセイ連載がギネス世界記録に認定されており、
その記念にになるエッセイ集でもあります。
この本に掲載されているエッセイは、主にコロナが蔓延している時期に書かれたもので、
コロナで自主規制の生活を強いられても、
工夫をしながら日常生活を送っている様子が書かれている。