数日前は、今年の冬初めての雪が降りました。
大雪警報が出ていましたが、さほど積もることもなく、 ほっといたしました。
今日は日差しは明るいですが、風が冷たい1日です。

さて、今月のご報告です。
デクリネゾン (ホーム社)
金原ひとみ
集英社
2022-08-26
紹介者:M.Hさん


JR上野駅公園口 (河出文庫)
柳美里
河出書房新社
2017-03-03
紹介者:M.Hさん



おばさん四十八歳 小説家になりました
植松 三十里
東京堂出版
2013-12-10
紹介者:M.Hさん

紹介者:M.Hさん


ひと
小野寺史宜
祥伝社
2018-04-10
紹介者:A.Oさん

紹介者:A.Oさん


泣くな研修医 (幻冬舎文庫)
中山祐次郎
幻冬舎
2020-04-02
紹介者:A.Oさん


香君 上 西から来た少女 (文春e-book)
上橋 菜穂子
文藝春秋
2022-03-24
紹介者:A.Nさん


香君 下 遥かな道 (文春e-book)
上橋 菜穂子
文藝春秋
2022-03-24
紹介者:A.Nさん


どろどろのキリスト教 (朝日新書)
清涼院 流水
朝日新聞出版
2022-12-13
紹介者:A.Nさん


星々たち (実業之日本社文庫)
桜木紫乃
実業之日本社
2016-10-06
紹介者:A.Nさん


 9編の短編で出来ていますが、繫っています。
身持ちの悪い咲子という女性が、父親のいない子供を産み母親に預けて
夜の稼ぎで食いつなぎ、男も点々とする。
彼女が産んだ子供、千春(細いのに嫌に胸が大きいことが強調され描かれている)が
少々魯鈍(?)でこちらは結婚して子供を産むものの、
育てるのが嫌で出奔し母親と同じ生き方をするしかない。     

 この母娘の一生を、9編にそれぞれ別の主人公を登場させ、
必ずこの母と娘を関わらせ、最後は千春の娘のやや子(良い結婚が出来そうな気配あり)
という女性に行きつき終わります。

 少し魯鈍っぽい千春がいきなり詩を書く女性として登場してきたときは驚きました。
その詩がエロティシズムぷんぷんの、でも経験に裏打ちされたせいか、
なかなか素晴らしい詩になっています。
彼女は結局詩の師匠を誘惑し、やがて交通事故に会い、
実に哀れな末路となるのですが、著者はみんなみんな輝く星だ、そう言っています。

蛇行する月 (双葉文庫)
桜木 紫乃
双葉社
2016-06-16
紹介者:A.Nさん


 北海道の高校でクラスが一緒だった5人の女性と、
そのクラスの中の1人に夫を寝取られた和菓子屋の女主人を登場させ、
25年間の、どちらかというと冴えない、
不幸な部分を抱えた彼女たちの軌跡が描かれています。
桜木紫乃さんは、不幸な人を書くのが好きなのでしょうか?

 その中での主人公は、和菓子屋の女主人から夫を奪い出奔した順子です。
その男は20歳も年上でした。
順子を、友人たちはいつも気に掛け、噂をしたり、
電話をしたり、尋ねたりします。
そして、極貧の生活なのに、順子がいつも幸せそうにしているのに戸惑い、
自分の求める幸せがおかしいのかと疑ってしまいます。

 順子は不幸のうち癌になり、病院にもかかることが出来ず死んでいきますが、
瀕死の順子に会った友人が、ほかの友人とかわす言葉
「順子幸せなんだねー。」「もちろんー。」
の言葉がこの本の最後のページですが、
著者はその後、こう続け、本の幕を下ろします。

「湿原を一本の黒い川が蛇行している。
うねりながら岸辺の景色を海辺へと運んでいる。
曲がりながら、ひたむきに河口へ向かう。
みんな、海へと向かう。川は明日へと向かって流れている」。
ここで、「蛇行する月(人生とはそういうもの)」の月を出さずに、
連想させるようにしているのは素晴らしいと思いました。

 最後に印象に残ったところを一つ。
東京の順子たち夫婦のところに、元の妻が
「失踪届」と「離婚届」を持って現れる場面があります。
どちらを選んでもよいと言いながら、
元妻の心は離婚届を選んでほしいと思っています。
でも、元夫は離婚届を握りつぶし
自分が無くなってしまうほうの失踪届を選びます。
一度夫婦だった男女は同じ量の喜怒哀楽を分け合わなくてはならない、
元妻も自分と同じ量を、ひそかな元夫の抗議でした。
元妻はそこで気づきます。
自分は誰よりも自分が可愛かった、
守りたかったのは自身と自分の店だけだったと。

紹介者:A.Nさん


 日本のポピュラー音楽文化が世界的に見ても稀有な特徴がある、
それは「未熟さ」の文化だと。

 歌い手の成長過程自体が一つのパーフォーマンスとなって、
成長途上であるがゆえに可愛らしさ、アマチュア性、
未熟のほうが応援されたり、愛好されたりする。
なぜこうなっているのかを、社会学者である著者は、
書かれた雑誌や書物だけでなくインタビューも行い、
綿密に調査し、明治期からの音楽の流れをもとに、
「未熟さ」から日本近代を問い直そうとしています。

 出来たら、飛ばしながらでもいいので読んでいただくと、
私たちの昔聴いた音楽が生きた証としてよみがえり、
「そうだったよなあ」と懐かしく、
「そういうことだったのか」と納得、
自分がいかに作られた歴史の流れに沿って生きて来たかが実感できると思います。

 そうは言っても他の本を読むことで忙しい私たち、
私がかいつまんでお話ししましょう。

 明治初期、西洋音楽を取り入れることに文部省は必死でした。
楽譜をもとに、音階、発声方法やリズム等、
西洋講師を招いて学校教育に取り入れようとしました。
が、いくら子供の頭が柔らかいとはいえ、
三味線のもとでの小唄や常磐津、鼓のもとでの謡等に育った環境は、
簡単に彼らの頭脳を換えることを許しませんでした。

 そんな時、世俗的な下卑た子供向けの読み物の排除をモットーとして、
大正7年、鈴木三重吉は「赤い鳥」を発刊します。
「童心」をもとにそれまでにない純粋無垢な「未熟さ」の世界を
売り物とするこの本は童謡を生み出します。
後押ししたのはサラリーマンの誕生、マスメディア、レコード、
ラジオの発達、劇団や劇場の発達です。

 郷里を離れたサラリーマンが家庭を作り、
子どもを育てていくとき、何を規範とするか?
未熟なものへのまなざしと純粋無垢性への信仰です。
こんな時、本居宣長のひ孫の<長世>の登場。
毛並みによるお行儀の良さ、可愛らしさ、
地声で張り上げる黄色い声の何とほほえましく可愛らしいことか!
これが未熟な歌い手が現れる原点です。

 原点がもう一つ、関西の宝塚少女歌劇団です。
明治40年、鉄道経営を中心とした都市・住宅・観光地の開発のため、
荒涼とした宝塚の温泉の余興として始まった少女たちの唱歌や歌劇は、
サラリーマンとして新天地にやって来た新家族の心をとらえました。
子どもたちが宝塚の歌劇団員を自分と身近に感じられるよう、
プロとなってはいけない、未熟さを失わないお利口ちゃんにする、
このことが複数の戦争を経て新しい世の中になっても変わることはありませんでした。
変わるどころか、高度経済で手にした、
新しい住居で数々の見たこともない電化製品に囲まれ、
専業主婦の母親が作る料理を口に、茶の間でテレビを見ながら、
歌やドラマに興じる、典型的な家庭の理想像は未熟な文化を後押ししました。

 テレビ局は子どもたちをいつも頭におきながら、楽しく、身近に感じられるアマチュアさを失うことなく、規範を外れない行儀のよい歌やドラマをヒットさせていきました。

 とまあ、後はなべプロに始まる芸能プロダクション、ジャニーズ、グループサウンズ、
オーディション番組と群がる虚構の少女たち・・と続いていきますが、
未熟さは若さあってのもの、歌手たちが独り立ちするために、
可愛らしい王子様の衣装を脱ぎ捨て、プロの技量を積むと解散に追い込まれる・・
面白いからやはり一読をお薦めします。

 市町村のゆるキャラやニュースにまで登場するかわいいキャラクター、
筑紫哲也がニュース番組でマスコット人形を飾った時の幼稚性への批判はもう遠い昔のこと。
茶の間を失って時が経ち、私たちはそれぞれの部屋でテレビを見、
いや若者はテレビをほとんど見ず、スマホで娯楽を楽しむのだとか。
幼さをはぐくんできた文化が乗り越えられて、
柔でない文化のもと強い個人の出現を私は期待します。

掌に眠る舞台 (集英社文芸単行本)
小川洋子
集英社
2022-09-05
紹介者:A.Nさん

 著者のエッセイで、「書けない」という辛い気持ちを吐露した文章を2度ほど見ました。
訴えたいテーマがある作家はその点はあまり悩まないでしょう。
この著者のように、日常の場面を切り取って普遍的なテーマに近づける、
香り高く昇華され作家独自の文学作品を作り上げようとする作家は、
一つの作品を血の出る状況に身を置いて書いていくのだと思います。

 これは、著者の近著、20229月の発行です。
それぞれの「舞台」を設定した6つの小編から成り立っています。
金属加工工場で父親の退社を待つ父子家庭の少女が、
機械油でまみれた地面で、始めて見たバレエ「ラ・シルフィード」の世界にあこがれる。
大学受験のため泊った、昔女優だったといわれている伯母さんの1LDKのアパート、
そこで見た、食器に書かれた「ガラスの動物園」のセリフ、
上演されることのなかったその芝居のセリフを演じ続けるおばさんの姿。
「オペラ座の怪人」や「レ・ミゼラブル」・・・

 みな、ポピュラーな作品ですが、私が本物の舞台を見ていたら
もっとこの本は楽しめるのだろうと思います。
作者の作品を作り上げたいという思いばかりが印象に残った読後感になってしまいました。

 それにしても著者の作品にいつも思うことですが、
作品に取り扱う材料が尋常でないというか、普通が少ないというか、
完全でないものが好まれるというか、身体フェチというか、
そこに猟奇性、もっと素敵に努力して言い換えるとシュール性というようなものを
私は感じてしまいます。
この6編の中の「鍾乳洞の恋」の痛む奥歯の鍾乳洞のような窪みから白い虫が湧き出る話、
「無限ヤモリ」という少々不気味な不妊症に聞く温泉宿で、
主人夫婦が育てている一対のヤモリ、これを狭いところに閉じ込め、
身動きできない状態になったヤモリ夫婦はお互いが巻き付き口を開けられない状態になって、
飢え死にしミイラになる、これが子宝のお守りになる。

 勿論、それぞれ各編ともほんわかとした終わり方になっていますが、
怪奇小説のように思った私でした。
ことり (朝日文庫)

小川 洋子
朝日新聞出版
2016-01-07
紹介者:A.Nさん

  前回の栞の会で、いい本だというささやきを聞いて、手に取りました。

  開いたとたん小鳥たちの声が飛び出てくる、そんな素敵な本でした。
「この世は捨てたものではない、十分に生きるに値する」、
読後、そう思えた素晴らしい本でした。
身体フェチで猟奇性を思わせる作品が多い中で、一番好きな本となりました。
栞の会に感謝いっぱいです。
綿密に学習、調査された鳥たちが、著者のあふれんばかりの想像力で羽を広げ、
著者の天才的な筆力で大空を自由に羽ばたき飛び回って素敵な小説となった、
そう思いました。

 この本はまた、著者の想像力だけではなく、
生きとし生けるものへの深い慈愛がなければ書けない本だとも思いました。
不完全な姿であろうと話せなかろうと、死体であろうとすべてが愛おしい。

 「私のためになど、歌わなくていいんだよ。」
「明日の朝、籠を出よう。空へ戻るんだ。」
そして「大事にしまっておきなさい。その美しい声は。」
こう言って永遠の眠りに着いた静かな最後は圧巻でした。

 小川洋子は慈愛の作家か?まだまだ彼女の作品は読んでみなければなりません。

すべて真夜中の恋人たち (講談社文庫)
川上未映子
講談社
2014-11-14
紹介者:A.Nさん


 スマホを開いたら、この著書が「世界で最も権威ある文学賞のひとつである
『全米批評家協会賞』の小説部門で最終候補に選ばれた」
と書かれてあるのを見たので図書館に駆け込みました。

 201111月初版の、題名から察しられる通りの恋愛小説でした、と思います。

 人前に出るのが苦手で会社勤めも苦痛になり退社、
フリーランスの校閲者をしながら自宅で引きこもりのように暮らす
地味な30代半ばの女性が主人公です。

 だんだん酒におぼれていき日本酒を魔法瓶に持って歩かなければならないほど。
そんな時いろいろな講座が開かれている会場に出かける気になり、
会場に行ってみたものの、申込者のあまりの多さに気分が悪くなって
トイレに駆け込もうとした時、初老の男性とぶつかります。
これが恋愛の始まりです。

 著者の得意とする微細で濃厚な描写、心の動きや身体の反応、
取り巻く空気の変化、さらに空気は広がって地面へ空に、
丁寧な描写が二人の距離を縮めていきます。

 最後はあっと驚きますので読んでください。
どうもこの著者は男女の関係より女同士の関係に心地よさを覚えている気がします。
ご自身は結婚なさってお子さんもいるようですが。

 夜の描き方が実に丁寧で素晴らしい。
題名から言っても、恋愛小説というより真夜中を賛歌する小説と言うべき本だと思います。

 こんな人と自然が融合した小説手法が西洋人の心をつかむとは?
しかも主人公と言い、恋人と言い、自分を表現するのが苦手な口数少ない
日本人らしい性格の持ち主(世界にはこういう人が多いのかしら?)、
なかなか近くなっていかない二人の関係のもどかしさ。
賞をとったら書評を見てみたいです。  

醜女の日記 (1958年) (新潮文庫)
シャルル・プリニエ
新潮社
1958T
紹介者:S.Mさん


紹介者:A.Oさん


この本は、20204月から20225月に、
メルカリの公式ツイッターで配信された21人のベストセラー作家による
ショートストーリーを単行本にしたものです。

 どの話でも「モノを捨てない」「フリマで譲る、譲り受ける」ことに関わって、
その人物の人となりや歴史が見えてきます。
どの話も読み終わると気持ちがほっこりして、癒されますが、
私が特に気に入ったのは、次の2点でした。

 

○伊坂幸太郎
 いい人の手に渡れ!
○西川美和
 ブルース・フォー・ポーギー


紹介者:Y.Oさん

紹介者:Y.Oさん


若冲 (文春文庫)
澤田瞳子
文藝春秋
2017-04-14
紹介者:Y.Oさん


紹介者:Y.Oさん


孤鷹の天 下 (徳間文庫)
澤田 瞳子
徳間書店
2013-09-06
紹介者:Y.Oさん


紹介者:Y.Oさん


紹介者:Y.Oさん


わが殿 上 (文春文庫)
畠中 恵
文藝春秋
2023-01-04
紹介者:Y.Oさん


わが殿 下 (文春文庫)
畠中 恵
文藝春秋
2023-01-04
紹介者:Y.Oさん


紹介者:M.Sさん

 中村哲医師が2019124日にアフガニスタンのジェララバードで銃弾に倒れてから、
3年が経ちました。

 この本は、NHKのラジオ番組「ラジオ深夜便こころの時代」に
出演された音声(19962009年の6回分=中村医師49歳から63歳まで)を記録したものです。
巻末には、彼の活動を背後から支えた「ペシャワール会」の会報も付記されています。

 この本のタイトルの由来は、「ペシャワール会報」
(81号、2004年、イーハトーブ賞受賞に寄せて)に寄稿された下記の言葉によるとのこと。
「『なぜ20年も働いてきたのか。その原動力は何か』としばしば人に尋ねられます。
・・・でも、返答に窮したときに思い出すのは、賢治の『セロ弾きのゴーシュ』の話です。
セロの練習という、自分のやりたいことがあるのに、
次々と動物たちが現れて邪魔をする。仕方なく相手しているうち、
とうとう演奏会の日になってしまう。・・・」
紹介者:M.Sさん

 この本は最初1993年に出版され、2005年に文庫化。
そして著者の死後の2022年に「復刊」として第9刷が刊行されました。

 著者はあとがきの中で「私は一介の臨床医で、物書きでも学者でもありません」
と述べています。

しかし、“物書きや学者”の範囲を超えた深い知見と文章は、
実践の人というこれまでの私の理解をはるかに超えていました。

 現地の自然や人々への愛、そして活動の広汎さと困難さの描写、
その一方で、かの地に押しつけようとする“西欧文明”の傲慢さ、
“国際援助・復興支援・ボランティア活動”のご都合主義等への批判は痛烈です。

十日えびす (祥伝社文庫)
宇江佐 真理
祥伝社
2010-04-14
紹介者:M.Kさん


馬上の星  小説・馬援伝
宮城谷昌光
中央公論新社
2022-11-08
紹介者:M.Kさん


70歳からの老けない生き方
和田 秀樹
リベラル社
2022-03-22
紹介者:K.Oさん

平均寿命=男性 80,98才 女性 87,14
健康寿命=男性 72,14歳 女性 74,79

介護の必要がなく自立して生活出来る期間、
健康寿命が正に今の自分の年齢と知り愕然としました。

今はまだ生活していく上で不安を感じることはありませんが、
確かに動作は鈍くなり更に頭の回転は情けない状態で…

でも今出来ないことを嘆くのではなく
今出来ることを出来るだけ続けられるようがんばらなくては、と思います。

和田先生のおっしゃるように、記憶力より気力!をモットーに。

そのための心得が詰まっている本です。

著者は同じようなタイトルの本を沢山出版していますが、
冊は読んでおいて損はないと思いました。

紹介者:K.Oさん


紹介者:K.Oさん

この種の本も沢山出版されていて、共通するのはシニア女性、離婚歴あり、持ち家 です。
著者は地方新聞社勤務を経てフリーのライターに。

「節約は知的な行為」をモットーに、プチプラ生活を楽しみ、
美味しく健康に良い月1万円のレシピや服のリメイク、インテリアを紹介しています。

著者は清楚な美人で写真も美しく料理のセンスも良いと思います。

健康維持こそが一番の節約と心得、月5万円はさすがに無理でも、精神的にも豊かなていねいな生活を心がけたいと思ったことでした。
長女たち (新潮文庫)
篠田節子
新潮社
2017-09-28
紹介者:K.Oさん

小説新潮に掲載された3つの中篇が収められています。

親から頼りにされ本人も長女の責任感からそれに答えようとして家に縛り付けられている。
「お前が嫁に行ったら俺はどうすればいいんだ」と臆面もなく娘に依存する父。
認知症を患い幻覚、妄想に囚われる母。
ヘルパーが家庭に入ることもデーサービスに行くことも拒み、
ましてや施設に入れようとすると「私を見捨てるのか」と。

今や自分が娘ではなく、母の立場となっていることに当たり前のことながら気づき、
自分の娘たちはこの小説に出てくるような頼りになる娘でないと思うと、
あてにはするまいと強く思うのでした。

認知症についても良く調べられており、クールな篠田節子らしさを感じさせる一冊でした。

紹介者:T.Yさん

理由 (新潮文庫)
宮部 みゆき
新潮社
2004-06-29
紹介者:管理人A


コロナ日本黒書
佐藤 章
五月書房新社
2022-09-29
紹介者:管理人A