今年の夏は、熱中症とコロナでさんざんですが、「栞の会」は元気に開催されました。
前回は、「第2の人生をいかに生きるか 」という話題で盛り上がりましたが、
今回は、「格差社会」で話が弾みました。
世の中には、色々な格差があります。
学歴、経済、社会的な成功など。
見える格差、見えない格差、外国との比較など、話していたら、きりがありません。
時間が不足しているのが、悩みの種です。
本の紹介だけでなく、番外編として、テーマを決めて、意見交換をしてもよいかな?
と思ったりもしました。
さて、今回皆さんから紹介された本です。
今回欠席だったSさんからは、原稿を戴いております。
また、Nさんからは、「栞の会」では、紹介しきれないとのことで、
こちらも、原稿を戴いでおりますので、お読みください。
紹介者:M.Sさん
著者の読書への向き合い方と多方面にわたる本の紹介が、
わかりやすい平易な文章で書かれている。
内容は以下の3章から構成されている。
1.ホンのひととき(読書好きになった子ども時代からの随想)
2.読書日記2011~2014(本との出会いを日記風に)
3.書評の本棚(各本についての感想)
後書きが2014年に書かれているので、もちろん、それ以降に出版された本は入っていないが、
100冊余が取り上げられていて、著者の読書量の多さ、幅広さに圧倒される。
「『どうやって本を選んでいるのですか』と尋ねられることが多い」
―2章よりーそうでしょうね。
「『大好きな作品へのラブレター』それがわたし流の書評です」―3章より
「ひとりでしかできない読書は、面白いことに『自分はひとりじゃない』
と確認することでもあるのですね。」―後書きより。
中江友里氏のテレビ「ブックレビュー」で紹介され、タイトルにも惹かれて手にとった。
2012年ごろから新聞や雑誌のコラムに書かれた随想、書評、および講座、
そして、亡くなる(2017)直前に語られた次の作品への構想などが収載されている。
20数点の本についての随想も含め、葉室麟の作家としての背景と姿勢を
うかがうことが出来る。
この本は、4つの章からなる。
1.読書の森で寝転んで
2.歴史随想ほか
3.小説講座で語る
4.掌編、絶筆
第1章の中で、「わたしを時代小説家へと導いた本」は、
子どものころ愛読した「忍者武芸帖 影丸伝」「カムイ伝」等の
マンガであるとしているのは興味深く、また、
第3章の、小説講座での文芸評論家池上冬樹氏との対談は、
彼の著作への姿勢が詳しく語られており、読みごたえがある。
―「小説は虚構だけど、自分の中にある本当のことしか書けない。
書くことは、心の歌をうたうことです。」
紹介者:Y.Aさん
紹介者:Y.Aさん
紹介者:M.Hさん
紹介者:M.Hさん
紹介者:M.Kさん
紹介者:S.Cさん
紹介者:S.Nさん
紹介者:S.Nさん
紹介者:S.Nさん
紹介者:S.Nさん
ここに収められている鑑賞作品は絵(抽象・具象)・建物・工芸品・印鑑・昆虫・
動植物・遺伝子・家具・・・。
彼の目に見えるものすべての中で「素晴らしい」と感じるものを取り上げ、
分子生物学者としての解説を試みています。
嬉しくなるほど共感でき、その解説に納得するのが結構ありました。
私の好きな高山辰雄の解説は圧巻でした。
フェルメール超大ファンの彼は、何点かフェルメールの作品を解説していますが、
あまりファンでない私には「そう言われましても」と思えましたし、
抽象画もそういうのが多かったです。
また、彼の説明が、なんせ分子生物学者ですから、
難しすぎて理解できないのもありました。
ただ、黒川紀章の銀座のカプセルマンションが取り壊されるにあたり、
数学と工学だけで作るからそういうことになる、
生物学がなければならないと書かれていたのには納得できました。
生物学の魅力が分かるような気がしました。
本を書いたり、訳したり、歌を作ったり、テレビにもちょくちょく、
研究やれてるの?と心配しながらも彼の著書を待っている私です。
テンポが小気味よく、どんどん読めました。
よほどの知識がないとこれだけ端的には書けないだろうと思います。
著者自身淡白な性格の人なのかもしれないと思いました。
さらっとしていて、楽しんで著いているように思われ、
悲しみや深刻さや喜びを登場人物と共有していない。
ただ、ロマノフ王朝304年を新書版にまとめ上げるには、
記録的な叙述しかなかったかもしれません。
でも、短い文章でも著者の性格は伝わってくるのではないかと私は思います。
ロシアの特殊性と言っていますが、残虐性、命の軽さには中国どころではないと思いました。
為政者が自ら死刑・拷問を執行するなんて
ヨーロッパ・日本にはまずないのではないかと思います。
また、ロシアの絵画は私が知らないだけなのでしょうが、
あまり知られてないですよね。
音楽や文学の面では世界を凌駕しているのに、
すぐに浮かぶ有名画家、有名絵画がないのはなぜ?
絵画芸術の原点、フランスをひたすらまねてきたはずなのにと思いました。
著者は私と同じ1949年生まれ、73歳です。
東大卒、京大名誉教授の経済学者です。
新聞や雑誌などから抜粋し、戦後から現在の岸田首相の政策まで論じている読みやすい、
新鮮な本です。
戦後の政策をあげて、「改革」ばかりで、掛け声だけの77年、
アメリカ資本主義に盲目的に追従した日本の行きつく先はどうなるのか?を問うています。
その解決策を読み取ることは出来ませんでした。私の力不足かもしれません。
印象に残ったところしか掲げることが出来ません。
彼は大きな声をあげて、何かというと世論調査をすぐにやり、
ネットの声を取り上げるマスコミに警告をしています。
政治家は「民意」で動いてはいけない、政治とは多くの意見を聞くことではない。
自己抑制・寛容・深い思慮で日本の将来を見つめ対策を打ち出し、
リーダーとしての責任感を持ってなされなければならない。
実は、これは、民主主義とは関係ないところにある道徳、社会規範なのだと言っています。
柳田国男によるところの、ご先祖様に道徳を求めてきた日本が、
家の崩壊により、道徳の拠り所を失い、新憲法で神格を失った天皇も民意で動く、
「民意」とは何なのか?その危うさを危惧しています。
紹介者:S.Nさん
朝日新聞の書評に興味を持ち、手にしました。
面白く楽しく一気に読みました。
巣鴨で6代続く糸問屋の真面目一徹の徳兵衛が、息子に店を譲り、
悠々自適な隠居生活を送ろうと別宅に移ったとたん、
馬鹿が付くほどの優しい孫の千代太が、捨てられた犬猫を始めに、
極貧の子供たちを次々に連れ込んできたところから話が始まります。
仕方なく彼らの救済にかかわる徳兵衛ですが、
そこは商人、物を与えることはしません。
自分が食える方向、読み書きそろばんをてはじめに、
どうすればお金を稼げるか、子供たちとともに考えます。
そこが面白いです。
やがて、人のために尽くす心地よさを知り、周りをも幸福にし、
やがてはなじめなかった妻とも、いい関係になっていくという心温まる小説でした。
紹介者:K.Oさん
紹介者:K.Oさん
紹介者:K.Oさん
紹介者:T.Yさん
紹介者:T.Yさん
管理人:A