皆さん、あけましておめでとうございます!
今年も面白い本をたくさん読んで、ご報告いたしますので、
「栞の会」のブログ、よろしくお願いいたします。
さて、2022年初めての「栞の会」のご報告です。
紹介者:T.Yさん
同窓生である植松三十里さん(77年・文史卒)の近著。
「別府観光の父」と呼ばれた油屋熊八の生涯を、
巧みなストーリー展開で読ませてくれます。
ホテルは今でもあるようです。
コロナで外出自粛の中、別府・湯布院へ行ってみたくなります。
紹介者:T.Yさん
児童文学好きの経済学者さんが、
英国を中心としたヨーロッパを巡り撮影した写真がふんだんに掲載された、
各々の物語の背景を解説した本です。
見ているだけでも楽しく、物語へ誘ってくれます。
紹介者:T.Yさん
紹介者:K.Oさん
紹介者:K.Oさん
仕事も恋人も住む家も一度に失ったアラサー女子の崖っぷち奮闘記です。
「老後の資金がありません」「姑の遺品整理は迷惑です」など
数々の痛快小説を書いている著者ならではの筆運び。
後がない主人公はTVで「農業女子特集」を観て、
「これだ!」と思い、田舎に引っ越し、
農業大学校で野菜作りのノウハウを学ぶが人生なかなか思うようにいかない・・・
でもスーパーでアルバイトをしながら、
ひと癖もふた癖もある人たちに囲まれて
諦めずに頑張って生きていくその姿に勇気を与えられ、
思わず主人公を応援したくなります。
紹介者:M.Kさん
紹介者:M.Kさん
紹介者:N.Hさん
主人公: 島谷もち子(通称おもちさん) 83歳の老女
舞台: 北海道
登場人物: *夫の勇、趣味は釣り、後に認知症その他の疾病も加わり
近くの特別養護老人ホームに入居中
*息子一家がすぐ近くに住み、おもちさんのことを常に気にかけている
*娘藍子は独身で東京在住。 時々泊りがけでおもちさんに会いにくる
*妹のよっちゃんが一家で泊りがけで横浜から遊びに来る
あらすじと感じたこと
おもちさんは友達も多く、家族にも恵まれているが、
ある時風邪のような症状が続き入院し種々の検査を受け、
いろいろな病気が見つかる。
糖尿病、加齢黄斑変性症、時々記憶がすっぽり抜けるなど。
自宅では一人暮らしであり、持病に悪いものを好むきらいがあり、
入院中でも看護師さんたちの目を盗んで甘いものを信じられないほど食べる。
食生活を改善するには管理されたところ、すなわち施設に入居するしかないと、
家族たちは相談し、幸い自宅の近くにあるいわゆる介護付き有料老人ホームを見つけ、
おもちさんに薦める。
最初は嫌がっていたおもちさんの気を変えさせたのが、
そのホームが全個室で、毎食食堂で賑やかに食べられることなどだった。
もちろん雪かきもしなくていいし、職員の目が届くので安心していられることだった。
経済的には負担が多くなるが、自分の預貯金を家族に開けっぴろげに見せるという、
おおらかさ、(ただし1部は隠している)に目をひきつけられた。
こうして、施設での生活が始まり、気のあう友達もでき、
気の合わない人とも折り合いをつけて過ごしていく。
このおもちさんのおおらかさ、楽観性、いわゆるインテリではないが、
わきまえも、思いやりもある姿勢が非常に魅力的。
でも老い行く不安と苛立ち、寂しさなどに揺れ動く老境の心情が手に取るようにわかる。
そして最終ページのおもちさんが寝る前に言う言葉が抜群。
あくびが一つ出て、伸びをし、テレビを消してベットに入る。そして言う
「ご機嫌よろしゅうございます。 おやすみなさい。 今日も幸せ者でした。
ありがとね」
私もまねして言ってみよう。
紹介者:N.Hさん
去年2021年9月に寂聴さんが亡くなられた。
沢山の似たような題名の本が出版された。
朝日新聞に2015年から月にほぼ1回 「残された日々」という題で掲載が始まり、
私は毎回楽しみに読んでいたのでエッセイということもあり
読みやすいかと思いそれを購入した。
新聞に連載されたものの他に幾つもの初めて目にするエッセイが載っていて楽しめた。
但し文庫本なので、嵯峨野の寂庵に咲く花々や、寂庵の静謐な雰囲気が望めなかったことは、
欲張り過ぎとはいえ残念だった。
紹介者:S.Nさん
紹介者:S.Nさん
紹介者:S.Nさん
紹介者:S.Nさん
紹介者:A.Oさん
「漱石氏と私」では、主に、漱石から虚子に宛てた手紙が紹介され、
所々虚子の回想も加えられています。
「ホトトギス」で漱石が小説家として脚光を浴びる前後のことです。
家族の病気や引っ越し、親戚からの借金の相談、
「ホトトギス」に掲載する予定の漱石の小説の進み具合や、
小説家を志す人の作品の掲載の依頼など様々なことを材に手紙が書かれ、
漱石の素顔、日常生活やその時々の気分が感じらます。
筆まめな人だったんだなと思いながら、楽しく読みました。
最も印象深かったのは
「小生は何をしても自分は自分流にするのが自分に対する義務であり
かつ天と親とに対する義務だと思います。
天と親がコンナ人間を生みつけた以上はコンナ人間で生きて居れ
という意味より他に解釈しようがない。」
というところでした。
いろいろなことに振り回されながらも、
自分流を通して大きな仕事を成したということでしょうか。
紹介者:M.Sさん
室町時代、世阿弥は6代将軍義教に疎まれて72歳で佐渡に流される。
佐渡という土地、土地の人々との交流、思い、能についての思索や舞いetcを描く。
「風姿花伝」や能の演目の中の言葉や数々の和歌あちこちにちりばめた文が美しく、
また描写される情景にも魅了される。
たとえば、200年前の承久の乱で佐渡に流され、無念の思いの中で亡くなった順徳院。
その怨霊を鎮めようと、配流先の寺で舞う「黒木」。
広い寺の本堂の床に無数の蝋燭を立てて結界として行う冬の夜の能は、
神社の境内などで観てきた薪能とは違う凄みを夢想させる。
紹介者:M.Sさん
時は世阿弥の時代から約400年下がった江戸時代後期、
能は式楽として武士や大名の嗜みであり社交の手段であった時代。
貧しく小さな藩の藩主が養子を立てる前に病死。
それを隠し、能を職能とする家の出の少年を身代わりに仕立て、江戸城に登城させる。
そこで能の技と知恵を駆使して大名達の知己を得、
将軍の眼を己=自分の藩に向けさせる使命。そして結末は・・・。
一人断崖の岩の上で能の修業をしてきた孤独な15歳が、
期限付きの藩の使命を帯びて、考え、潔く身を処する・・・
15歳なのにここまで出来るか、と思うが、
時は武士の世、物語としてのハラハラ感が気持ちいい。
紹介者:Y.Oさん
紹介者:Y.Oさん
紹介者:Y.Oさん
紹介者:Y.Oさん
紹介者:S.Mさん
紹介者:S.Mさん
紹介者:H.Yさん
紹介者:管理人A
出版社に勤める主人公は、本の編集をしている。
本の編集で様々な疑問が生じるが、その疑問が解決できないと、
中野に住むお父さんに会いに行く。
お父さんは高校の国語教師をしており、日本の文学に詳しい。
親子で、なぞに挑む、楽しい謎解き小説。
紹介者:管理人A
主人公は75歳の静子さん。
軽やかに生きる、チャーミングなおばあさんの日常を描く。
読後感さわやかな小説。
紹介者:管理人A
第6回京都本大賞受賞作。
主人公の菜穂は、有村美術館の副館長。
夫の篁一輝は、たかむら画廊の専務をしている。
身重の菜穂は、東北大震災の原発事故の放射能を避けて、京都に逗留している。
菜穂は、京都で無名の新人画家、白根樹に出会う。
東北大震災のあおりを受けて、有村美術館もたかむら画廊も経営難に陥るが、
白根樹の描く絵に魅せられた菜穂は、
彼女を画壇デビューさせようと、孤軍奮闘する。
京都の季節の移ろいとともに、きめ細かに描かれる。