真夏のような1日があったり、小雨が降ったり。
この小雨は菜種梅雨と呼ぶのでしょうか?
日本には、素敵な季語がたくさんありますね。

今日は、新しい2名の方の参加がありました。お二方からは、
「色々な考え方、感じ方を聞くことができ、楽しかった」
との感想をいただきました。

さて、今日話題に上がった本の紹介です。

100歳の美しい脳 普及版 ~アルツハイマー病解明に手をさしのべた修道女たち~
デヴィッド・スノウドン
ディーエイチシー
2018-07-25
紹介者:T.Yさん



紹介者:S.Nさん


仮面から地球の“すがた”が見える 【第一巻】 仮面に見るホモ・サピエンス前史 宇宙創造から一神教誕生までを歴史する
小笠原 弘三
文芸社
2022-04-28
紹介者:S.Nさん

つまをめとらば (文春文庫)
青山 文平
文藝春秋
2018-06-08
紹介者:S.Nさん



「跳ぶ男」の理屈っぽい文章を読み、ほかの著書でもそうなのだろうかと、手に取りました。

江戸時代の武家(後に町人に職替えもあります)の日常を描いた短編6編が
集められています。
最後はどれもほんわかとした結末になっています。

 武士、しかも主人公はみな男、彼らに実にふさわしい文章・文体です。
理詰め、断定的、無駄がない、情緒風な筆動に流されない・・・

 著者はやはり数学に興味があるみたいで、
この中の登場人物に「算学」に興味を持った人を登場させていますし、
ほかにも、「算学によって明らかにされるものが沢山ある」と、
「実用の算学」と「西洋の算学―幾何」の比較を延々述べたりしている所があります。

 庶民の生活もいいですが、武家の生活を読むと、インテリになりますよ。

白樫の樹の下で (文春文庫)
青山 文平
文藝春秋
2013-12-04
紹介者:S.Nさん


 松本清張賞受賞作品の長編です。
江戸の田沼意次から松平定信に変わったばかりの時代、
佐和山道場で代稽古をしている幼馴染の下級武士3人の一人(主人公)が、
名刀「一竿子忠綱」を預かることになり、
その刀の持つ凄みを巡って繰り広げられるサスペンス風物語です。

 つましい武士の貧乏生活・江戸の物騒な治安・友情や恋心が実によく伝わってきます。

 ただ、刀の説明や、流派の説明、刀の振り方の説明などが丁寧に描かれ、
ま、それがないと話は前に進まないわけですが、
構成や文章が「調べて書く」のを隠しきれてないのです。説明になりすぎです。
もっと沢山小説を書いて、こなれた作品を書いてほしいと思いました。

「白樫の木の下」は佐和山道場の庭にある木ですが、
その説明がなされたのはたった一回だったと思います。
こんな素敵な題名を付けたのですからもっと生かせばいいのに、
せめて最初に説明を持ってくるべきです。
また、最後に辻斬りの犯人が分かるのですが、
その人が何の伏線もなく突然出て来て「それはないだろう。」と思いました。

 主人公は、優柔不断、八方美人の性格が薄い男に描かれていますが、
最後に、3人の中でたった一人生き残ります。
「決めつけない、一つに固まって閉じない」性格が、
最強と言われる辻斬りを切ることが出来た、作者はそう結論付けています。

紹介者:S.Nさん

紹介者:S.Nさん


 ISS(国際宇宙ステーション) は地上から約400kmの上空を
秒速約7.7km(時速約27,700km)、つまり秒速8キロで飛行していて、
地球を約90分で1周、1日で約16周しています。
その周回軌道に乗るためにはロケットで秒速8キロの速さで地球を飛び立つ必要があります。
そうしないと地球に接触したり落ちてしまったりします。

 そのISSでの滞在40日間の記録というか日記です。

 「文は体を表す」と言いますが、大西卓哉氏の若さ、さわやかさ、無理しない可愛い性格
(宇宙飛行士の試験に合格するのですから、そんなことはないはずですが)、
新米宇宙飛行士としての学ぶ真面目な姿、
でも他人にちゃっかり手伝ってもらう、おそらく次男か三男に違いない・・・・
が詰まった、実験については3分の1くらいは分からないため飛ばし読みしましたが、
読後感極めて良しでした。

 ISSにいるといっても、仕事はすべてつくばやNASAなど地上のほうでやってくれるので、
荷物の片付け(地上の操作でISSに持ち込まれます)、
トイレをはじめとした各部のメンテナンス(これは重要)、
民間の衛星(これが結構多い)の取り付け確認とかで、
いかに人間の体が宇宙空間に耐えられるかの自分を使った人体実験が実に多いです。

 難しすぎて私には説明できませんが、ISSでの実験は、
地上の私たちの生活にいろいろと役立てられているようです。
費用の無駄だなどという時代は通り越して
宇宙旅行を含めて開発は勢いが止まらないようです。

 人間の体も柔軟にできているのですね。
重力のない環境に伴う苦痛にも34日すれば慣れ、
地球に帰還しても最初は大変ですが、
慣れる、この柔軟さこそがホモサピエンスの証かもしれないと思いました。
今年、宇宙飛行士の公募に多くの若者の希望があったことはブームとは言え、
喜ばしいことと思いました。

 

鴨川ランナー
グレゴリー・ケズナジャット
講談社
2021-10-26
紹介者:A.Oさん

アメリカ人高校生の主人公(文中では「きみ」と2人称で称される)は、
高校入学時に、外国語科目を選択する際に見た漢字に興味をひかれ、日本語を学び始める。
16歳の夏休みに京都への語学旅行に参加し、自分の知らなかった世界を垣間見て、
まるでお伽噺の光景だと四条大橋の上で立ちつくす。
日本語学習にもますます力が入る。

大学卒業後、京都の南丹市でA L Tとして働き始めるが、
自分の暮らす地域に溶け込めず、自分の日常を
「自分を全く必要としない社会で、ただのモノとして扱われ、
無意味な形式だけの仕事をやり続ける。」
と感じる。
ALTの契約の更新時に契約しないことを決める。その時は、
『帰国とか、故郷に戻るとか、そんなあやふやな意味ではなくて、
自分の居場所へ帰るということだ。
家族なりコミュニティーなり、自分を象徴でもなく、不思議な外人でもない、
一人の人間として受け入れてくれるところへ帰る。
ここにいる限り、そんなことは到底ない、
いつまでも一種の不思議な見せ物として扱われるのが落ちだ。』
という心境になる。

 ある時、友人と飲んでいた時に若い男二人に絡まれた時のやり取りをきっかけに、
自分のいるところは、
「お伽噺の世界ではないかもしれない。
そんなものを追っかけたあまり、何かを見失ったのかもしれない。」
と気づき、帰国せず、英会話学校に転職する。
その後日本の大学院で学び、東京の私大に職を得る。
海外留学を考えている学生からのアドバイスを求められ、
海外留学の利益と不利益について考えた時、
『自分の言葉と文化の外に出て、努力さえすればその世界は自分に開くと思っていた。
しかし現実はずっと複雑でチグハグだった。
まずは目の前にあるものをそのまま受け入れて、無理に理解しようとせずに慣れていく』
というあり方に気づく。
よそよそしかったまちが懐かしく感じられるようになる。

 仕事で接した外国籍の人がどんな心境で働いていたのだろうか
という思いで読んでみましたがが、
この小説の「きみ」のように感じた人も多かったのではないかと思いました。
異文化、また、新しい環境の中で自分の居場所を見つけるには、
多かれ少なかれ痛みや孤独を経験するものと思います。
「きみ」が気づいたことは普遍的なことであると思います。



北条政子 (文春文庫 な 2-55)
永井 路子
文藝春秋
2021-01-04
紹介者:Y.Aさん


常設展示室 (新潮文庫)
原田 マハ
新潮社
2021-10-28
紹介者:Y.Aさん


香華(新潮文庫)
有吉 佐和子
新潮社
2014-02-07
紹介者:K.Oさん


紀ノ川 (新潮文庫)
有吉佐和子,
新潮社
1964-07-02
紹介者:K.Oさん


恍惚の人(新潮文庫)
有吉 佐和子
新潮社
2014-03-07
紹介者:K.Oさん

同作家の「香華」の後に読みました。

舅の介護をするお嫁さんの話で、50年前に発表された時の
センセーショナルな世間の受け止め方は記憶に残っています。

介護保険の導入で、多少改善されたとは言うものの、
今もなお嫁が介護の主な担い手であることには変わりありません。
夫(息子)は親の老いを直視出来ないのです。

自分の老いについても考えさせられる一冊でした。

今出来ることは先延ばししないで、今やろうと心に誓いました。



老後とピアノ
稲垣えみ子
ポプラ社
2022-01-19
紹介者:M.Kさん


紹介者:M.Sさん

 卯三郎は、幕末から明治にかけて、語学に精通した商人として活躍した人物。

 埼玉県制作の映画「清水卯三郎:卓越したプレゼンテーションと先見性」(2016)があり、
出身地羽生市では、小・中学生対象の「全国プレゼンテーションコンクールin羽生」で
「最優秀プレゼン清水卯三郎賞」があるとのこと。

  先月紹介した末松謙澄と同様、明治維新期には、
まだまだ魅力的な人物を発掘できそうである。

 卯三郎略歴

 1829(文政12)羽生生まれ、蘭学、ロシア語、英語を学ぶ

 1860(万延元)32歳 商人向け英会話本「ゑんぎりしことば」を発刊

 1863((文久3) 35歳 薩英戦争イギリス海軍の旗艦に通訳として乗り込む

 1867(慶応3) パリ万博へ 翌年 ヨーロッパからアメリカをまわり帰国

 1874(明治7)化学入門書の翻訳本「ものわりのはしご」発刊

 1876(明治9)48歳 歯科器材を輸入販売

 1910(明治43)逝去


ヤマケイ文庫 原野から見た山


「原野から見た山
(ヤマケイ文庫)(再々販)
坂本 直行
山と溪谷社
2021-02-10
紹介者:M.Sさん

 「原野というものの味は、原野にきてみなければわからん」、
「未開の北海道的な言葉であるといってもまちがいではない・・・」

  

 著者は、北海道の広大な原野とそこから眺める山々に魅了され、
あまり人が足を踏み入れていなかった昭和初期の山々(主として日高山脈の)を登りながら、
数多くの山や花の絵を残した。

 

 牧場、開拓、登山の途中で立ち寄る造材飯場、朴訥な人々、
そして、山の仲間、時に命にかかわるような山での体験も
簡潔な文章でユーモラスに語る26篇。
68枚のスケッチの挿画も楽しい。

 

 蝦夷富士(羊蹄山、マッカリヌプリ)、大雪山(ヌタクカムウシュベ)はまだしも、
ペテガリ岳、コイカクシュサツナイ岳、ヤオロマップ岳、上ホロカメットク ・・・
アイヌ語の名が残る山々の名前。
カムイエクウチカウシ山はアイヌ語で「熊の転げ落ちる山」という意味だそうだが、
現在でも登山者がクマに襲われることがあるという。

 私にとっては馴染みのなかったこれらの山だが、
現代は、ネット検索で、写真や登山ルートを詳しく見ることができ、
登るにつれて広がる風景の動画まで見られようになっている!

 

   著者略歴

1906(明治39)生れ。北海道大学農学部実科卒業。在学中は山岳部員として活躍。

1930年(昭和5) 24歳~ 広尾で友人が営む野崎牧場で働く。

1936年 30歳~ 同町下野塚の未開拓地に入植し開拓に従事。

  その間、日高山脈など北海道の山野を主題に、絵筆をとり続け、
  雑誌「山」などに作品を掲載。

  戦後10年間は農民運動でしばらく登山から離れるが、後に再開。

1960年(昭和35)年 54歳 開拓地を離れ、画業に専念。

  ◎帯広千秋庵(のちの六花亭)発行の雑誌の絵を依頼される。翌年包装紙に。

1982年(昭和57)年 75歳 逝去

著書に『山・原野・牧場』『雪原の足あと』『開墾の記』ほか。

 


残照の頂 続・山女日記
湊 かなえ
幻冬舎
2021-11-11
紹介者:M.Sさん

 「後立山連峰」、「北アルプス表銀座」、「立山・剱岳」、
「武奈ヶ岳(ぶながだけ)・安達太良山」、の独立した4つの話で構成される。

 それぞれの山行の描写と、登場人物の思いや人生が交互に(並行して)語られる。
「原野から見た山」がカラッとした印象なのに対し、こちらはウエットで抒情的と言えようか。


紹介者:Y.Oさん


旅屋おかえり (集英社文庫)
原田マハ
集英社
2015-04-03
紹介者:Y.Oさん


紹介者:Y.Oさん


きたきた捕物帖
宮部みゆき
PHP研究所
2020-05-29
紹介者:Y.Oさん


母の待つ里
浅田次郎
新潮社
2022-01-26
紹介者:N.Hさん


津軽
太宰 治
2012-09-12
紹介者:N.Hさん



日本文学の研究史 (放送大学大学院教材)
島内 裕子
放送大学教育振興会
2021-03-20
紹介者:S.Mさん


楽園のカンヴァス (新潮文庫)
原田 マハ
新潮社
2014-06-27
紹介者:C.Tさん


赤朽葉家の伝説 (創元推理文庫)
桜庭 一樹
東京創元社
2013-08-09
紹介者:管理人A

第60回日本推理作家協会賞受賞作。
舞台は鳥取。
赤朽葉家の女性3代記である。

祖母の「万葉」は、幼いときに「辺境の人」に置き忘れられた。
優しい養父に育てられ、長じて製鉄所を経営する赤朽葉家に望まれて、輿入れする。
「万葉」は未来を透視(?)できる能力を持ち、周囲から「千里眼奥様」と呼ばれている。

母「毛毬」は、青春時代に暴走族の頭として、地域を支配する。
彼女が描いた走族時代の経験の漫画は、人気を呼び、売れっ子漫画家になる。

そして、まだ者でもない孫の「瞳子」。

赤朽葉家の女性の3代記は、孫の「瞳子」によって語られる。

戦後、日本が高度経済成長期の赤朽葉家の製鉄所の様子、
1980年代、校内暴力などで、荒れる中学生が出現した時代、
そして、一見穏やかさを取り戻した現代社会。
これらの時代の流れが、赤朽ち葉家の女性3代記の背景に丁寧に書き込まれている。

女性の3代記は、たくさんの作家が取り上げているが、
このような人物設定は、他にはない。

作者の力量を感じる小説だった。

















 








暖かい日が続きますね。
今年は桜の開花も早そうで、お花見が待ち遠しいです。

今回は、S.N様より、「栞の会」が開催される数日前に、
「当日紹介する本は、2冊にとどめ、その他の本については、
紹介文を添付します」
とメールをいただきました。

S.N様が添付してくださった紹介文も掲載してありますので、
併せてお読みください。

今日のご報告です。

三千円の使いかた (中公文庫)
原田ひ香
中央公論新社
2021-08-20
紹介者:K.Oさん


漫画 伊藤千代子の青春
ワタナベ・コウ
新日本出版社
2021-10-15
紹介者:K.Oさん


時代の証言者―伊藤千代子
廣登, 藤田
学習の友社
2020-08-01
紹介者:K.Oさん


紹介者:T.Yさん


本所おけら長屋(十七) (PHP文芸文庫)
畠山 健二
PHP研究所
2021-09-22
紹介者:T.Yさん


紹介者:T.Yさん


梅と水仙
植松 三十里
PHP研究所
2019-12-15
紹介者:A.Oさん


世界の児童文学をめぐる旅
池田 正孝
エクスナレッジ
2020-10-20
紹介者:A.Oさん


言の葉は、残りて (集英社文庫)
佐藤 雫
集英社
2022-01-20
紹介者:M.Kさん


真夜中の栗 (幻冬舎文庫)
小川 糸
幻冬舎
2022-02-10
紹介者:N.Hさん


紹介者:N.Hさん


紹介者:M.Sさん


紹介者:M.Sさん




紹介者:M.Sさん



紹介者:S.Nさん


紹介者:S.Nさん



紹介者:S.Nさん



青い月の石 (岩波少年文庫)
トンケ・ドラフト
岩波書店
2018-02-17
紹介者:S.Nさん

 題名が素敵で、Sさんが薦めていたので読ました。

「青い月」は新月のことを言うらしいのですが、題名からもっと石に意味を持たせて、
色彩豊かな世界が繰り広げられるのかと思ったら、
そうでもなくヒヤシンタ姫を救った石として描かれているだけです。
姫と王子が出てくる「お話」、
ファンタジーの世界は子供たちや大人にも想像豊かな世界を楽しませてくれるのだと、
つい教訓的な読み物を求めてしまう自分に反省。

 驚いたのは、この物語が繰り広げられる元となっている
最初に出てくる子供たちの遊び歌が、日本の「はないちもんめ」そっくりだったこと、
作者がこの本を書いたのが75才の時というのもびっくりしました。

 なぜ、「ヒヤシンタ姫」なのか?
意味を持たせて付けたのか?
「ヒヤシンス」の花からきているとしたら色別に
「嫉妬-赤」「控えめな愛らしさー白」「変わらぬ愛-青」
「あなたとなら幸せ黄」「淑やかな可愛らしさ」などがあるようですが、
この姫には「意志の強さ」もあったことを忘れてはいけません。


ゆっくりおやすみ、樹の下で (朝日文庫)
高橋 源一郎
朝日新聞出版
2021-08-06
紹介者:S.Nさん


 図書館で子供の本のコーナーを通った時、なんてきれいな装丁だろう、
題名もいい、源ちゃん好きだし、ということで借りてきて読みました。

 11才のミレイちゃんが、ぬいぐるみのピーちゃんと、
鎌倉のおばあさんの家で夏休みを過ごしながら、
色々な部屋、おばあさんが描いた絵や写真、
ご近所との付き合いを通して・・・何の経験したの?

 実はイントロが長いのです。
「ゆっくりお休み」だから急がず読み進まなければと読んでいくと、
ルソン島で亡くならなければならなかった大きい叔父さんにたどり着きました。
著者はどうやら太平洋戦争のことを子供たちに伝えたかったらしいのです。

 著者も書き上げるのに大分時間を要したらしいですが、
子供に戦争の悲惨さを伝えるのは難しいと思いました。
希望の職業を断念して戦争に駆り出された悲しみや辛さが<説明>という叙述だけで、
ぬいぐるみと一緒の11才の少女に理解できるか?
ずばり、戦いの悲惨な場面を映像的に書いてしまうほうが
より伝わったかも知れないだろうなと思いました。
ま、そうしないところに著者の初めて手掛ける児童文学への
意気込みがあったのかもしれませんが。


跳ぶ男 (文春文庫 あ 64-5)
青山 文平
文藝春秋
2022-01-04
紹介者:S.Nさん


 Sさんの薦めで読みました。

 墓を作ることもできない、貧しい甲斐の藤戸藩に住む道具役(能楽師)・剛が、
幼くして死んだ藩主の身代わりとなって、目付役の又四郎と共に、
式楽の能を武器として何とか「この国をちゃんとした墓参りができる国にしよう」と
奮闘する物語です。芸道小説というそうです。

 ズバリ、能に関心のない方には読みにくい小説と思いますが、
私はかなり、又四郎の能についての語りの解説により、
学ぶことが出来、実にありがたい読書となりました。

 最初は、男性的な理路整然とした断定調、
風景を主体とする心象描写のない、武士にふさわしい文体だと思いましたが、
後半の「墓参りができる国」にするための方策に行きつくまでの道程が、
読むのに辛いものがありました。

 畳みかけるような論の進め方、
アインシュタイン方程式を思わせる(チラッとYouTubeで見ただけ)高度な展開、
それに加えて煩雑な漢字だらけの各藩の名前や系図、
そして、著者の細かにしかも繰り返して説明をしているのに、
肝心のところが抽象的物言いになっている、
結論は分かるのですが、その結論に至る過程については
70パーセントの理解といったところでした。

 ちなみに、この著者、早稲田大学政治経済学部卒だそうです。
哲学とか理工学部卒ではなかったみたい。




ブラックボックス
砂川文次
講談社
2022-01-19
紹介者:Y.Aさん


武神の階 (角川文庫)
津本 陽
角川書店
1997-02T
紹介者:Y.Aさん


銀座で逢ったひと (単行本)
関 容子
中央公論新社
2021-09-17
紹介者:K.Nさん


舞台の神に愛される男たち
関容子
講談社
2012-12-03
紹介者:K.Nさん


占
昇, 木内
新潮社
2020-01-20
紹介者:H.Yさん



私の男 (文春文庫)
桜庭 一樹
文藝春秋
2012-09-20
紹介者:管理人A

主人公は腐野花(くさりのはな)。
小説は花の結婚式から始まる。
花の養父である腐野淳悟は、結婚式になかなか現れない。
これ以上、式を遅らせることはできない、といったところに、
ようやく淳悟が現れる。
父親とは思えない若い淳悟、そして結婚式にはそぐわない異様な風体。
そんな父親の出現に、会場はどよめくが、花が、
小さいころ、地震による津波で家族を失ったこと、
そして遠い親戚の淳悟に育てられたことを説明すると、
会場は落ち着きを取り戻す。

無事に結婚式が済んだあとは、花と淳悟による、回想が語られる。
花は、大きくなるにつれ、淳悟が実の父親だということを知る。
そして、淳悟と関係を持つようになる。
有体に言えば、父子相姦であるが、父子相姦が非常識な許されないこと、
という風には、描かれない。
淳悟は花の肉体の一部であり、また、花も淳悟の身体の一部のように描かれ、
花は、淳悟と一生別れることはできないと考えている。

ここまで、読んでくると、家族とは、いったい何だろうか?
家族の愛情とは、いったいどういう形態をとるのが普通(?)なのだろうか?
と深く考えさせられる。
普通、あるいは、当たり前というのは、いったい何だろう?
と様々な疑問が沸く。

そして、最後まで読むと、花は結婚し、淳悟はどこかに消えていなくなる。
これは、父子密着、共依存からの脱却、親からの自立の小説なのかな、
と思った。


























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