今日は5月だというのに、30℃を超える真夏日でした。
天気予報でも、熱中症に注意とか、クーラーを入れましょうとか、
報道されていましたね。
今日のご報告をする前に、先月このブログを読まれたH.Yさんから、
感想のメールをいただきましたので、まず、それからご紹介しましょう。
紹介者:H.Yさん
栞の会の報告をみて「埼玉化する日本」読みました
面白くて一日で読んで近所のお友だち二人にも回しました。
「栞の会」に参加されなくても、ブログを見て、
本を読んでくださるって、管理人としては、とても嬉しいです。
紹介者:Y.Oさん
紹介者:Y.Oさん
紹介者:M.Hさん
紹介者:M.Hさん
紹介者:R.Hさん
紹介者:K.Oさん
紹介者:K.Oさん
紹介者:K.Oさん
紹介者:K.Oさん
紹介者:K.Oさん
紹介者:M.Kさん
紹介者:A.Nさん
紹介者:A.Nさん
紹介者:A.Nさん
3月3日に亡くなって、朝日新聞で何人かの追悼文を読んだり、
NHKでノーベル賞受賞時の映像の再放送を見たりして、
つくづく彼の知性が作り上げる、世界に発信しようとする文学に驚きました。
大学生の頃「死者の奢り」と「飼育」は読みましたが、
暗いのについて行けず、その後彼の作品は難解になり、ノーベル賞受賞時も、
本屋に足を運んだものの難しい言葉が並んだページをそっと閉じました。
ここにいる人は読めるのだと。
戦前・戦後を生きた彼が日本人として世界に発信続けたものを、
少し後に続く私は読まねばならない、
そう思って容易に読めると言われている作品から読んでいくことにしました。
「死者の奢り」が1957年東京大学在学中に発表され芥川賞候補となり、
次の年「飼育」で芥川賞受賞、スピード出世でした。
字が小さく旧字体のところが読みにくいと思っただけ、
どちらも、重厚でしっかりした構成と執筆、
可愛らしい書き方が散りばめられ息抜きもある、
さすがノーベル賞を受賞する人だけあると思いました。
前者は解剖用屍体を別の容器に移すアルバイト、
後者は戦時中不時着した敵のアメリカ黒人兵士を閉じ込め飼育する経緯、
暗いのに青春、空は広々で真っ青なのでした。
彼自身も学生であったことによるのでしょうが、
今がどんなであれ彼らには未来がある、
暗い未来かもしれないけれど時間がたっぷりある、74歳の私は思ったのでした。
続いて、短編なので読みました。「奇妙な仕事」大学生たちがアルバイトで犬を飼う仕事をする話で、平野兼が絶賛。
「敬老週間」大学生たちがアルバイトで死の近い老人の傾聴ボランティアをする話で、
私向きかと思い読みましたが、著者の意図するところが前者は理解できず、
後者は政治的で難しすぎ、大江の作品をこれから読んでいけるか、
不安がよぎった作品でした。
新聞で可愛らしく素敵な題名だと思い図書館に頼みましたが、待つこと3か月、
私の後も31人が待っている今年本屋大賞にノミネートされた本、長編です。
7歳の時に偶然出会った二人の女の子、
一人はお医者さんの子でお嬢さん学校に通うも強いママに逆らえない弱い子、
もう一人はシングルマザーに育てられ、しかもこの時は付き合っている彼氏の洗脳で
徹底した自然派暮らしの生活を余儀なくされている、しかし強い子。
この二人の交流の7歳、15歳(高校生)、29歳(どちらも結婚している)の時期を
交互に語らせる形式をとっています。
空とか影とか光関係の描写が生き生きしていて、表現も斬新、
オノマトペも工夫され入っていて、グュシュンとなってしまうところが所々にあって、
とてもいい本でした。
お薦めしたいと思ったのですが、最後になって私は混乱しました。
女の子は同性にあこがれるということはよくあることだと思います。
また、女っておばさんになっても仲がいい。
そんな友情物語だろうと気持ちよく読んでいたのですが、
これは真剣な女同士の恋愛小説なのでした。
それを最後のページで私は理解したのでした。
途中二人がキスする場面が2度あって、
今の若い人は同性同士でもそんなことやるんだと流していましたが、
作家を調べたら「BL小説家」と。
紆余曲折を得ながら二人が結ばれる未来が海、波、空、
そして別れを告げて汽車に乗った彼女を追う車のヘッドライト、
すべて「光の中にあった」つまり、二人一緒の未来が約束されている、
そういう終わり方です。
LGBTの問題、頭でわかってもこの小説に戸惑う私はまだまだのようです。
ただこれからはこんな小説が増えていって、
法律の上だけでなくいろいろな所で市民権を得て来ることでしょう。
パターンがありすぎて、忙しくなりますが、いいことだと思います。
自分のことは自分で決めていい、そういうことだと思います。
登場人物はみな、親や世間の期待を裏切って職に就いたり結婚した人ばかりです。
また、主人公の一人が最後のほうで、
高校生の弟の悩みについて自分で決めることが大切だと諭す場面があります。
LGBTも自分で決める、それだけのことなんだと作者は言っているのだと思います。
紹介者:A.Nさん
前回の栞の会で取り上げられ、素敵な絵本だと思い読みました。
その通り素敵な本でした。手元に置いて私が死んだとき、娘に残そうと思いました。
作者は1939年生まれの詩人、エッセイストで、
「故長田瑞枝(1940―2009)の思い出にー。」とあとがきがあり、
書かれたのが2010年ですから、亡くなってすぐに書かれたようです。
作者の座右の画集、クリムトの樹木と花の作品を「死と再生の画家」と位置づけ
毎ページ、詩とともに絵を取り入れた美しい本になっています。
この本は何も言うことがありません。ただ読めばいい、そんな本です。
小池真理子が夫の藤田宜永を亡くした時書いた「月夜の森の梟」は
素晴らしい追憶のエッセイでしたが、
これは詩のせいかもっと哲学的な世界を作っていると思いました。
「ミセス・ハリス・パリへ行く」を楽しく読み、映画まで見てしまった私は、
ポール・ギャリコの代表作品は「スノーグース」だとあったので読むことにしました。
この短編の他に「小さな奇蹟」「ルドミーラ」という短編も収められていました。
3編とも動物が主人公―迷子の渡り鳥(「スノーグース」)、
荷役のロバ(「小さな奇蹟」)貧弱な牝牛(「ルドミーラ」)
―だと言ってもいいかと思います。
「スノーグース」はスポーツ記者の彼を作家として一躍有名にした本だそうです。
第二次世界大戦時にドイツ軍に徹底的にやられ撤退を余儀なくされた「ダンケルクの悲劇」
というのがあったそうで、そこに彼は題材をとっていると訳者のあとがきにあります。
スノーグースが自分の傷を治してくれた不具の孤独な画家・ラヤダーを助けて、
撤退しようとする兵士たちを身をもって救出する美談です。
孤独なラヤダーのところに訪ねて来るたった一人の少女の登場が物語に肉付けをしています。
「小さな奇蹟」は<聖者の一員である聖フランシスコに>と
副題が小さく付いていますが極めて宗教的なお話。
聖フランシスコ教会があるアッシジで働く戦争孤児の少年ペピーノが、
たった一人の家族である荷役のロバ・ヴィオレッタの病気を治すため、
ローマ法王のもとまで陳情に行き、思いが遂げられる話です。
しかもそれが長年の聖フランシス教会の念願だった聖者の遺物の発見につながる
というおまけ付きです。
「ルドミーラ」はリヒテンシュタイン公国の乳牛の牧夫たちの世界の話で、
第三者が報告するという語り口になっています。
貧弱で乳の出ない役立たずの牝牛が、聖女ルドミーラという、
牧場を取り巻く人や牛たちの守護聖人に助けられ
乳と質を競う祭りで勝利を収める話です。
これには少女が深くかかわっているのですが、
全体的に神のご加護か否かというキリスト教に疑問を呈するテーマになっていると思います。
1823年(工業化に伴い科学が神の存在に疑問を投げかけるようになった)の出来事として
ギャリコは書いています。
訳者の矢川澄子が最高の幻想的な小説だと絶賛していたので読みました。
地上よりはるかに高い空で生まれた雪のひとひらが、
地上に降り風のまま、流れのままに旅をし、男性(雨のしずく)に巡り合い、
子どもたちも生まれ、そのうち夫に先立たれ、子どもたちも独立して一人になってしまう、
擬人化した女の一生が描かれています。
大人の童話と言っていいと思います。
たえず、自分を生かしてくれた何者かに自分の生を問いかけています。
嵐や寒さに襲われたり、夫に先立たれたりするたびに、
その何者かに、自分を見離しているのではないかと疑問を投げかけます。
「神」とは言っていませんが神によって作られ神に召される=キリスト教の
お教えに従っていると思います。
「いかなる理由あって、この身に生まれ、地上に送られ、
よろこびかつ悲しみ、ある時は幸いを、ある時は憂いを味わったりしたのか」
臨終と思われる時に発した彼女の問いに彼女の行きついた結論は
自分は「自分の全生涯が奉仕を目ざしてなされてきた」
「片時も、造り主に忘れられたり見放されたりしてはいなかった」
「宇宙のすばらしい調和」のなかで「一役果たすべき世に送られた」
ただただ、感謝でした。
ギャリコは敬虔なカトリックなのでしょう。
宗教への疑問がテーマとなった「ルドミーラ」が書かれたのはたぶん1940年。
本書が書かれたのが1952年、ギャリコ55歳の時です。
12年の後の彼の神の存在への結論だったのでしょうか?
私には、幻想的なキラキラ、フワーッとした本というより、
「生きるとは何か?」を問いかけた本になりました。
紹介者:A.Oさん
紹介者:T.Yさん
紹介者:T.Yさん
紹介者:M.Sさん
札幌市の一角にある「絵本屋クッタラ」。
スープセットとコーヒーを提供するが、本は置いていない。
6つの話(章)で構成されている。
各章ごとに訪れる客の事情は様々で、店主は静かに話をきいた後、
その話の中から悩みの核心を掬い取り、相応しい絵本を見つけてきて提供する。
“オーダーメイドの本屋”である。
その絵本が色々で、全体を通すとかなりの量(40冊)になる。
この1冊で少し絵本通になった気持になれるかも??
紹介者:M.Sさん
紫式部日記を基盤としたフィクションである。
主人公の名は藤式部。当時の天皇を中心とした貴族社会を虚実を交えて物語っている。
藤原道長が紫式部のパトロンであったろうというのは通説であるが、
ここでは一歩進んだ関係になって、驚きの結果が・・・。
紹介者:M.Sさん
紹介者:管理人A