今日も楽しかったです。
今回は「老後をどのようにすごすか」というテーマの本がたくさん紹介されました。
身近な話題(?)で、盛り上がりました。

それでは、今日紹介された本です。

生命海流 GALAPAGOS
福岡 伸一
朝日出版社
2021-06-12
紹介者:K.Nさん


紹介者:A.Nさん



紹介者:A.Nさん


ヘヴン (講談社文庫)
川上未映子
講談社
2014-11-14
紹介者:A.Nさん

 朝日新聞でブッカー賞候補と知り、手にしましたが、
読んだら前に読んでいたのに気が付きました。
心に印象として残るほどではなかったということかしら?

 中学生のいじめを取り上げていて、
今回、残酷で読んでいられないところがあったのは、
私が年老いて、嫌なことから目を背けている証だと思いました。

 いじめを受けている気の弱い斜視の主人公と、
いじめを受けながらも心の中でいじめる子たちの優位に立つ理論を確立しようと
もがく同じクラスの女の子、「へヴン」とは、
その女の子が主人公を連れて行った美術館にある作家の絵の題名です。
絵の中に描かれているのは、つらい目にあった2人が乗り越えてたどり着いた最高の部屋だそうで、「へヴン」は女の子が名付けた題名だそうです。

 「あらゆるものに意味はなく、すべてはたまたま。」
「嫌ならなぜ嫌と言わないのか?」がいじめる側の論理。
「あらゆることに意味がある。なぜいじめるのか?」と言いよるいじめられっ子。
中学生にしては高尚な口論が繰り広げられます。

 問題提起だけで、最後は主人公が、迷っていた斜視の手術を受けることで、
少し光が差すような終わり方ではありますが、
世の中がもっとよく見えるようになれば変われるのか?それは分かりません。

モダン (文春文庫 は 40-3)

原田 マハ
文藝春秋
2018-04-10
紹介者:A.Nさん


 ニューヨーク近代美術館(MOMA)を拠点とした独立した短編5編で成っています。

 大きな事件(東北大震災や911・・・)をテーマに繰り広げられる作品と
人間模様が描かれています。

 それにしても彼女の本はいつも、美術への理解を高め、
美術界(裏話も含め)についても知識を広げてくれる楽しい読み物です。

 今回も第一編では、私は、福島県出身でありながら、
福島県立美術館が貴婦人のような美しい出で立ちの美術館であること、
アンドリュー・ワイエスの絵画保有に力を入れていること、
震災が起きた時、「クリスティーナの世界」を借りて展示中であったこと等、
全く知りませんでした。

 他の編でも、美術館での監視員の仕事内容、
MOMAがロックフェラー財団によって成り立っていること、
企画をしてから展示に至るまでの輸送をJ含めての緊張と苦労等、
知らないこと、気づかなかったこと満載でした。

 ただ、読後としては文学作品としてみた時、
これだけのいい材料を揃えながら、
もっと読者の胸を打つ作品に仕立てられなかったのかなという思いが残りました。
私の感性が弱っているのかな?人物の絡み合いや表現方法が月並みな気がしました。

贖罪 (双葉文庫)
湊かなえ
双葉社
2020-06-08
紹介者:A.Nさん


 15年前、静かな田舎町で5人の小学生の女の子が一緒に遊んでいたとき、
その中の一人で東京から来た転校生が殺害されてしまいます。
犯人を見たほかの4人はなぜか犯人の顔を思い出せないまま、
事件は迷宮入りとなります。
娘を喪った母親(麻子)は彼女たちに言いました。
──あなたたちを絶対に許さない。必ず犯人を見つけなさい。
それができないのなら、わたしが納得できる償いをしなさい、と。

 小説はこんな簡潔な書き方では始まりません。
3人の子供たちが、大人になってから、麻子への手紙、PTAでの告白など、
一人称での語りにより15年前の事件内容がつまびらかにされ、
その後の彼女たちが大人になってから「償い=贖罪」のために殺人を犯してしまう、
そんな形式になっています。
しかも終章、麻子自身の告白で犯人が明らかにされる、
麻子の発した言葉から麻子へ戻るのです。

 「贖罪」などという日本人には縁遠い言葉に惹かれ、読みましたが、
人間の持つ弱さ(他人の言葉に惑わされる、愛されない寂しさに苦しむ、
自分を内向的に追い込めてしまう等)が粘り強く丁寧に掘り下げられています。

 最後に4人の中の2人が故郷の事件のあった校庭に行って語る言葉、殺害された友人
「を思いながら、手を合わせる。どうして、あのとき気づかなかったんだろう。
わたしたちが一番しなければならなかったことを」
「それに気づくための15年だったのかもしれない」
で作者は、いわば答えを出して締めくくっています。

 ひどい15年間です。
犯人目撃者と言われた4人が「贖罪せよ」の言葉を抱えながら、
追い込まれ殺人を犯してしまうのですから。

 大人が賢くならなければいけないのだと私は思いました。
自分の苦しい立場や気持ちを越えて、子供たちを見つめ、
大きな視野で、どうしたら傷ついた彼女たちを救えるのか、
どうしたら町全体が静かな元の田舎町に戻れるのかを考える。
苦しい時こそ自分の立ち位置を明確にしなければならない、私はそう思ったのでした。

生命海流 GALAPAGOS
福岡 伸一
朝日出版社
2021-06-12
紹介者:A.Nさん


 前回の栞の会で取り上げられ、福岡ハカセの人気のほどが明らかにされた本、
新聞やテレビで彼の著作や言動や持論については触れていましたが、
まとまった本を読むのはこれが始めてでした。

 いやあ、航海に出るまでのイントロが長いのなんの。
ま、これがガラパゴス諸島理解のプレリュードになっていて、
彼の小さいころからのガラパゴス諸島航海への熱い思いと、
航海にたどり着くまでの長い苦労の道のりが分かるのですが。
この他にも、付録として、小さい頃の虫好きで内向的で読書好きの彼の姿、
取り組んできた学問内容とたどり着いた持論、
テレビ界や出版界の裏事情、
そして、彼の持つ平等の目、読書による広い視野と知性、他者に対する暖かな目・・・
福岡ハカセの人となりまでが理解され、
私の中で栞の会の他の皆様方を越えて(?)彼の評判はうなぎのぼり。

 本題「ダーウィンをたどってのガラパゴス諸島航海」がもっと面白い、
書き方がうまいのでしょう、一気に読みました。
たくさん感想はありますが、なぜガラパゴス諸島の動物たちは人間を見ても怖がらず
むしろ人間と遊ぼうとするような行動をとるのか?
の彼の結論にしみじみと感じ入りました。
生命体は同じ起源をもつ他の生命体といつも何らかの相互作用を求めている。
互いに益を及ぼしたがっているし、相補的な共存を目指している。
ガラパゴス諸島の持っているがら空きのニッチ=余裕が
動物たちを主体的な余裕に基づく行動を起こさせている。
のだそうです。余裕がなくなると戦争が起きるのですね。 

 

 73歳の私が胸にじんと来た詩人ハカセ・福岡のこの本の中の詩を紹介させてください。

 

  星空を見上げながら、ピユシス(自然=長岡注)の実相を感じた。

  生きるものはすべて、時期が来れば生まれ、季節がめぐれば交わり、

                            そのときが至れば去る。

  去ることによって次のものに場所を譲る。

  生と死。それは利他的なもの。

  有限性。それは相補的なもの。

  これが本来の生命のありかた。

  ガラパゴスのすべてのいのちはこの原則にしたがって、今を生きている。

  今だけを生きている。

紹介者:M.Sさん

全国新聞10紙で連載中の4コマ漫画。
小学3年生のぴよちゃんと猫の又吉は深い絆の仲良し。
ぴよちゃんの家族と学校のお友達、そして又吉を囲む猫仲間。
これらの優しい集団のほんわかした日常を描いている。
猫の吹き出しのセリフも人間のそれに負けない程多く、
猫たちの表情の描写がなんとも可愛いい。

紹介者:M.Sさん

戦後の住宅困窮期から現在まで、住に関係する様々な施策や法律がつくられてきたが、
急速に進む家族形態の変化、少子高齢化、そして経済格差、
という社会変化に追いつけない現状であり、空き家問題もその一つである。

 

著者は、これからの住居を「つくる」から「つかう」へ、
「所有」から「利用」へ、「住まい」から「暮らし」へ、
そして、「グローバル化」と「ローカル化」を合わせた「グローカル化」を挙げ、
今後あるべき姿として次のように語る。

すなわち、住む人々が循環できる賃貸住宅と、居住関連産業や商業施設、
そして福祉関連施設がコンパクトにまとまった、
地域一体型で生涯100年時代を安心して生活できる住環境の整備が必要であると。

 

「高齢者向け優良賃貸住宅」制度、
「住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給に関する法律」、
「高齢者の居住の安定確保に関する法律」等々、
そしてこれらが一本化されたのが「サービス付き高齢者住宅」である等、
実に身近な問題でありながら、これまで知らなかったことが多いことに気づかされ、
今後も関心を持ち続ける必要性を感じる。

 

87歳、古い団地で愉しむ ひとりの暮らし
多良 美智子
すばる舎
2022-03-24
紹介者:M.Kさん


紹介者:M.Kさん


かくしてモスクワの夜はつくられ、ジャズはトルコにもたらされた:二つの帝国を渡り歩いた黒人興行師フレデリックの生涯
ウラジーミル・アレクサンドロフ
白水社
2019-09-27
紹介者:M.Hさん


やさしい猫
中島京子
中央公論新社
2021-10-22
紹介者:M.Hさん


紹介者:K.Mさん


紹介者:Y.Oさん


紹介者:Y.Oさん




紹介者:Y.Oさん


黒牢城 (角川書店単行本)
米澤 穂信
KADOKAWA
2021-06-02
紹介者:Y.Oさん


モダン (文春文庫)
原田 マハ
文藝春秋
2018-04-10
紹介者:A.Oさん


紹介者:T.Yさん


紹介者:T.Yさん


蔵〈上〉 (中公文庫)
宮尾 登美子
中央公論新社
1995-07-18
紹介者:K.Oさん


蔵〈下〉 (中公文庫)
宮尾 登美子
中央公論新社
1995-07-18
紹介者:K.Oさん

綴る女-評伝・宮尾登美子 (単行本)
林 真理子
中央公論新社
2020-02-18
紹介者:K.Oさん


旅屋おかえり (集英社文庫)
原田マハ
集英社
2015-04-03
紹介者C.Tさん


ぼく モグラ キツネ 馬
チャーリー・マッケジー
飛鳥新社
2021-03-18
紹介者C.Tさん


Creativity is Born - 三宅一生 | 再生・再創造 -
清水 早苗
パイインターナショナル
2016-03-25
紹介者:S.Cさん


老後破産: ―長寿という悪夢― (新潮文庫)
NHKスペシャル取材班
新潮社
2018-01-27
消化者:管理人A















 





皆様、ゴールデンウィークは、いかがお過ごしでしたか?
ゆったりとした時間に、読書を楽しまれた方も多いのではないでしょうか?

さて、今月のご報告です。

モダン (文春文庫)
原田 マハ
文藝春秋
2018-04-10
紹介者:Y.Aさん


本所おけら長屋(十八) (PHP文芸文庫)
畠山 健二
PHP研究所
2022-03-24
紹介者:Y.Aさん


20の古典で読み解く世界史
本村 凌二
PHP研究所
2021-08-19
紹介者:S.Nさん


紹介者:S.Nさん



生命海流 GALAPAGOS
福岡 伸一
朝日出版社
2021-06-12
紹介者:M.Kさん


ぼく モグラ キツネ 馬
チャーリー・マッケジー
飛鳥新社
2021-03-18
紹介者:M.Kさん


紹介者:M.Sさん


 この本を手にしたきっかけは、東京新聞(2022.54.23.発行)の”読む人“(読書欄)の
”記者の一冊“に紹介されていたことです。

 

内容は、碧梧桐の句作の変遷に沿って、初期から、自由律に移り、
ルビ俳句までの109句を選んで、見開きの右頁に句と解説を、
その句を書いた書を左頁に載せています。

俳句にも書道にも上辺だけの知識しかありませんが、
子規の弟子としての定型句の時期を経て、
絶えず句の形を変革・発展させていった壁悟桐と、
膨大な知識の基礎の上に前衛的な書に挑戦し続けている
九楊のコラボの世界に引き込まれました。

 

私の関心は、この本で九楊が碧悟桐の句をどのような書にしているか、でした。
その面では、あまりに絵画化されている書に最初は少しがっかりしました。

しかし著者は巻末で書いています。

「私の書は『書らしさ』からどれだけ遠ざかりつつ、
書の現在的表現として仕上がっているか。
書でなくなることによってでも真の書になりえているか。
それだけが今は気がかりである。」

 

 上記の記者は、ウクライナからの映像から書き起こし、
碧梧桐が関東大震災の折の朝鮮人殺害を批判したことを、
九楊の著書(川東碧梧桐 表現の永続革命)で知ったと書いています。

  記者は、「忘れたいことの又たあたふたと菜の花が咲く」を紹介していました。
私は
「焼跡を行く翻る干し物の白布」の句にも惹かれます。

 



一日一書
石川 九楊
二玄社
2002-05-01
紹介者:M.Sさん

 上の紹介記事から、昔読んだこの本を思い出し、書棚からとり出しました。

 20011月から12月までの「京都新聞」朝刊1面に掲載されたコラムに、
大幅に加筆し、併せて新聞休刊日分も補充したもの、と巻末に書かれています。

その日の暦に沿って、中国と我が国の古今の膨大な書の世界から1文字を選び出し、
その画像と解説とで構成されています。
ただただ、九楊の知識の深さに感嘆する一冊です。

Zoom栞の会」では画像を紹介できませんでしたが、
この中に紹介されている書はもちろん、
象形化された篆刻・印はその造形美にとても魅力を感じます。

この本が、京都新聞に毎日掲載されたコラムということから、
朝日新聞に長年にわたって掲載された大岡信の「折々のうた」もまた思い出されます



紹介者:K.Nさん

影に対して: 母をめぐる物語
周作, 遠藤
新潮社
2020-10-29
紹介者:A.Oさん

 20206月に「影に対して」という遠藤周作の未発表原稿が
発見されたことが公表されました。
この本には表題作を中心に、母をめぐって書かれた作品が集められています。
自身の両親の離婚、カトリックへの入信などの伝記的事実に材を取っているものの、
それぞれの作品では家庭の状況などについて異なる記述がありますが、
どの作品にも強く頑ななまでに高みを目指す母の姿、
そんな母への思慕、その母を自分が裏切ったという自責の念が語られます。
「影に対して」では、両親の離婚後、主人公が母と再会した時の会話や、
中学生の頃に受け取った母からの手紙という形で母の思いが語られます。
それは主人公にとって重荷にもなるが、忘れられない大切な生き方でもあります。

 「自分にしかできないと思うことを見つけて頂戴。
誰でもできることなら他の人がやるは、
自分がこの手でできること、そのことを考えて頂戴。」

 「アスハルトの道は安全だから誰だって歩きます。
危険がないから誰だって歩きます、でも後ろを振かえってみれば、
その安全な道には自分の足あとなんか一つだって残っていやしない。
海の砂浜は歩きにくい。
歩きにくいけれども後ろをふりかえれば、足あとが一つ一つ残っている。
そんな人生を母さんは選びました。
あなたも決してアスハルトの道など歩くようなつまらぬ人生を送らないでください。」



行く、行った、行ってしまった (エクス・リブリス)
ジェニー・エルペンベック
白水社
2021-07-15
紹介者:M.Hさん


美しき小さな雑草の花図鑑
多田 多恵子
山と渓谷社
2018-02-02
紹介者:M.Hさん


紹介者:S.Mさん


紹介者:S.Mさん


小説8050
林真理子
新潮社
2021-04-28
紹介者:K.Oさん


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こころざし今に生きて

紹介者:K.Oさん




紹介者:Y.Oさん


本所おけら長屋(十八) (PHP文芸文庫)
畠山 健二
PHP研究所
2022-03-24
紹介者:Y.Oさん


紹介者:Y.Oさん


紹介者:Y.Oさん


マチネの終わりに(文庫版) (コルク)
平野啓一郎
コルク
2019-06-06
紹介者:Y.Oさん


ある男 (コルク)
平野啓一郎
コルク
2021-09-01
紹介者:Y.Oさん


紹介者:T.Yさん


紹介者:T.Y


炎環
永井路子
文藝春秋
2014-10-03
紹介者:T.Yさん

ザリガニの鳴くところ
友廣 純
Audible Studios/早川書房
2020-05-15
紹介者:管理人A


作者は動物学者。舞台は湿地。
湿地にすむ主人公のカイアは、両親から見捨てられ、幼いながらも貝を採取し、
貝を売ったお金で生活し、湿地の中で植物、鳥類を友に生きている。
カイアは、幼馴染のテイトから文字を学び、本を読む喜びをおぼえ、
鳥類、貝、植物の標本を作り始める
カイアは、テイに恋心を抱くが、テイトは大学進学のために、カイアの元を離れていく。
失意のなかでカイアに、その町のフットボールの選手であるチェイスが近づいてくる。
その後、チェイスは何者かに殺されるが、犯人はわからない。
読み方によっては、サスペンスともいえる小説ではあるが、
家族の愛情、男女の愛、人間の成長、生と死など、
さまざまなテーマが盛り込まれた小説である。
湿地という舞台は、動物学者ならではの描写力である。















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